こんにちは。さるぼぼ母です。
このところ、大企業の副業解禁についてのニュースや話題が活発になってきています。ベンチャーやIT系企業のほかにも、従来からある大手企業も続々と副業を解禁しはじめているようです。つい先日の年末にも、大手製薬企業であるロート製薬の副業解禁が報道されました。
大企業も続々と副業解禁しはじめた。
政府は年頭にも「一億総活躍社会」を掲げ、性別や年齢といった枠を超えて活躍できる社会の実現を目指すことを公表。経産省の「雇用関係によらない働き方」に関する研究会ではダイバーシティ推進の一環として、年齢・性別の壁を超え、副業・兼業についても企業に推奨するよう働きかける、としています。
ただ、実際には副業を禁止している企業は多く、「平成 26 年度兼業・副業に係る取組み実態調査事業報告書」によると、企業の96%が兼業・副業を「不可」としている、と報告されています。理由のトップは「本業に影響するため」という理由が多いようです。
その一方で、ベンチャーやIT系をはじめとした多くの企業が続々と副業を解禁にしているというのです。では、どんな企業が副業を解禁しているのでしょう。
・リクルート
・エンファクトリー
・サイボウズ
・Yahoo!
・ロート製薬
・クラウドサービス
・キヤノン
・メルカリ
・LIG
などなど、ほかにもIT系のベンチャーやWebマーケティング会社、あとそもそも副業を最初から禁止していない日産、富士通、花王などの大企業も存在しています。
では、なぜこれらの企業が副業をOKとしているのか。それは「優秀な人材の確保」が最も大きい理由だといいます。優秀な人材ほど会社外部からのプロジェクトのオファーや交流も増え、会社内にとどまらない人脈や知識、スキルを身につけていることが少なくないのです。また、会社の「常識」の範囲に留まらない、広い視点や経営的視点を養うことで、それを自社の仕事に活かすことができるからです。
経営学では似た属性の労働者を増やすよりも、経験や価値観の多様性(ダイバーシティ)を持った社員がイノベーションにつながるとされているため、そういった企業内の活性化も目的としています。
企業と雇用者、メリットとデメリット。
考えるまでもなく、副業の解禁は企業のみならず、社員にとっても多くのメリットがあるように思えます。バブル崩壊以降、年収がなかなか増えない企業は多いのではないでしょうか。年齢が上がれば年収も上がるという常識はなくなり、20年以上存続できる企業も少ないことから、一生、同じ会社に勤め上げる、というのもほぼ幻想になっています。
5年後10年後に自分の会社があるだろうか? と考えて、自信を持って「ある」と答えられる人はどのくらいいるでしょうか。
2015年に出版されてベストセラーになった『下流老人』を読んだり、テレビの特集を見て、自分が貧困化するのではないか、と恐怖にかられた人は少なくないでしょう。国も会社も誰も老後の生活を保証してくれないのですから、副業をしたいと考える人も増えるでしょうし、社員の一生を保証できない以上、副業を容認する企業も増えてくるのは確実です。
とはいえ、デメリットもあるでしょう。ブラック企業と呼ばれる企業が横行する中、固定賃金で時間外労働をさせる企業は増えているように思います。時間=賃金ではないとは思いますが、成果主義の名の下に、どんなに働いても働かなくてもある一定の賃金しか支払わない仕組みの完全裁量労働制を導入する企業は増えていくでしょう。普段ですらギリギリまではたらいて、さらに副業...という過酷な生活の中に身を投じるのが普通になっていけば、さらなる労働環境の悪化も予測されますし、副業をやっているという理由で、企業側からのリストラも容易にできるようになるでしょう。
とはいえ、一つの収入源(会社)に人生を委ねる時代は終わりつつあるのかもしれません。
『フリーエージェント社会の到来』は現実になる?
私は以前に『フリーエージェント社会の到来ー雇われない生き方」は何を変えるか』(ダニエル・ピンク著)という本を読んで、いたく感心した記憶があります。ところが最近、この本のタイトルを見かけることが増え、調べてみたところ、新装版として改訂して発売されているのですね。
ですが、この本の初版は2002年。14年も前です。その時に、一生、ひとつの会社で正社員でいることや、キャリアを会社に委ねることのリスクについて考えさせられました。著者のダニエル・ピンク氏は
本書の著者は、米上院議員の経済政策担当補佐官、労働長官の補佐官、副大統領の首席スピーチライターを務めたのち、フリーエージェントになった経験の持ち主。フリーエージェントの実態調査をといったミクロな視点と、フリーエージェントが社会に与えるインパクトといったマクロな視点からの議論がほどよくミックスされ、社会の大きな潮流をとらえた論述となっている。(出典:Amazon書籍紹介ページより)
とされています。マクロとミクロの視点からフリーエージェント社会の到来を予測しているのですが、まさに日本で14年後に現実化しているわけです。本書については、働き方についての示唆が多く、参考になることが多いため、もう一度読み直してみようかと思っています。これからの働き方について、副業も含めて見直す時かもしれません。
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