ついにこの日が!ドナルド・トランプ第45代アメリカ合衆国大統領就任式。

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こんにちは。さるぼぼ母です。

昨夜、現地時間20日午前11時半(日本時間21日午前1時半)、第45代大統領就任式がアメリカ首都ワシントンで行われました。
ついにやってきたこの日、思ったことをつらつらと書いておきたいと思います。

前代未聞の反対デモで要塞化した首都ワシントンで行われた就任式

トランプ氏が大統領選挙戦で勝利した直後から、反対の声が高かった異例の大統領就任式でした。共和党代表となったにも拘らず、どう考えても共和党内部でもトランプ氏に反対する勢力が多いのは目に見えてましたが、次々に物議を醸し出し、ハリウッドからも先日のメリル・ストリープとの応酬に象徴されるかのごとく、就任式前日の19日夜には映画監督のマイケル・ムーアや俳優のロバート・デ・ニーロなどの映画関係者たちが反トランプの大規模デモに参加しています。

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就任式の前日、マイケル・ムーアらと一緒に反対演説に登壇するデ・ニーロ

ロバート・デ・ニーロはトランプ氏が大統領選で勝利する前の10月11日のローリングストーン誌のインタビューに、こう答えています。
「あいつは明らかにバカだ。本当にくだらないヤツだ。卑劣で強欲な男だ。それにペテン師で、クソ詐欺師だ。自分で何を言ってるのかわかっていないし、宿題もやらないようなマヌケだ」と、デ・ニーロはトランプを罵った。「あいつは社会をバカにして税金も払わない。大バカ野郎だ。コリン・パウエル(元アメリカ合衆国国務長官)はうまいことを言ったもんだ。"彼は国家レベルの厄災だ。この国の恥だ"ってね」。
大統領就任式に欠席してボイコットしようとする民主党議員は60名にのぼったとされ、就任式に招待された著名アーティストは次々に出演を断りました。ビーチボーイズエルトン・ジョン、オバマ大統領の就任式に出演したビヨンセヨーヨー・マも出演を断っています。

「私たちはトランプ氏を大統領として認めない!」というプラカードを持った大規模反トランプデモは首都ワシントン各地で総計25万人と予想され、首都ワシントンは警備で要塞化したと報道されました。実際、ワシントンではデモ活動の一部が飲食店や銀行の窓ガラスを割るなどして暴徒化したため、100人近い逮捕者が出ました。

まさかこれほど多くの反対を押し切って就任する大統領が誕生するとは。オバマ元大統領の就任時のあの希望と熱狂に溢れた就任。そして彼の離任式での人々の哀しみとあまりにも対照的。アメリカが一夜にして違う国に変わってしまうのではないか、世界中がそう思ったのではないのでしょうか。

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就任演説は単純に「アメリカ第一」を呼応するだけに思えたが。

昨夜の就任演説の全文を一応読んでみました(起きていようと思ったのですが、寝ちゃった^^;)。そんでもって、ABCのVTRを見返してみたのですが(日本語字幕なし)、本当に単純。とにかく「アメリカ第一を取り戻せ」ってのを連呼するだけ。正直オバマ大統領の就任演説のような感動はまったくゼロ。イデオロギーやニュアンスのあるデリケートな表現もなく、英語もチョーわかりやすくて単純。

まあ、これまでずっとアメリカは「世界の警察」たる役目を担って(誰も頼んでないと思うけど)、世界の紛争に口と手を出してきた長い歴史があります。トランプの政策をシンプルにすると「もう世界の警察はやめよう、それを自国の格差で置いてきぼりにされた人たちを豊かにするために使おうではないか」というものです。そのために「ワシントンで政治を牛耳ってる一部の政治家から政治を我らに取り戻そう」というものでした。演説の一部はこんな感じです。
あまりにも長い間、ワシントンにいる一部の人たちだけが、政府から利益や恩恵を受けてきました。その代償を払ったのは国民です。ワシントンは繁栄しましたが、国民はその富を共有できませんでした。政治家は潤いましたが、職は失われ、工場は閉鎖されました。権力層は自分たちを守りましたが、アメリカ市民を守りませんでした。彼らの勝利は、皆さんの勝利ではありませんでした。彼らは首都ワシントンで祝福しましたが、アメリカ全土で苦しんでいる家族への祝福は、ほとんどありませんでした。
そして、「どの党が勝つというのが重要ではなく、政府が国民により統治されることが重要」と述べています。トランプ大統領を擁護するわけではありませんが、非常にシンプルで当たり前の事を言ってるように聞こえます。一政治家や一部のセレブが持ってる既得権益を我々(国民)に取り戻そうじゃないか、と。「アメリカ第一主義」を連呼するトランプ大統領は内向きになる世界の象徴とも言えるかもしれませんが、実際にもし、私が彼を支持するプアホワイトであったなら、生活や仕事に困窮し、格差にあえぐ中で、ハリウッドや既得権力と結託したマスコミや富裕層から、富の再分配を行ってくれるかもしれない、と思わせるトランプ氏は、まさに救世主のように思えるのかもしれません。

対外的軍事政策に注目したい。

実際、共和党のブッシュ政権は完全に軍と結託し、イラク戦争を開始しました。結果、イスラム諸国の現状に繋がり、ISの出現を招いたというのも否めない事実です。トランプ大統領は、この軍と政府の関係も変えようとしているのかもしれません。その証拠に、トランプ大統領は、このイラク侵攻を「最大の間違い」として非難しています(とはいえ、トランプ氏のイラク侵攻に対する意見については懐疑的な記事も複数出てますね)。

一時、トランプ大統領が政権幹部にネオコン(新保守主義派)として知られるジョン・ボルトン元国連大使ウールジー元中央情報局(CIA)長官を閣僚内に迎えるだろうという報道がありましたが、実際には起用しなかったこと、また、ロシアのサイバー攻撃に対する報道で諜報機関を非難していることからも、諜報機関とも対決する姿勢を打ち出しているように思います。就任演説で一番沸いたのは「ISを根絶する」という力強い言葉だったようですが、対国際軍事的な側面ではオバマ大統領を継承するだろう、という意見も多いトランプ氏が、どのような手腕でISに対抗していくのかというのは世界中が注目するところなのではないでしょうか。

とはいえ、実業家出身のトランプ大統領が実際に政治家として手腕を発揮できるかというところは、私はかなり懐疑的です。オバマ元大統領が残した国民皆保険制度「オバマケア」の廃止にいち早く調印し、代わりとなる制度を早々に提供すると豪語していますが、オバマケアをめぐるさまざまな見解を読むと、これは絶望的に絵に描いた餅のようです。オバマ元大統領がなぜ、国民に全面的賛成を得られない国民皆保険制度を作ったのか、それは色々な調整の結果がそこにあったのであって、最善の結果だったからなのですから。また、発表されている閣僚の顔ぶれを見ても、実業家出身や身内も多く、本当に「国の政治」ができるのか、というのはアメリカ国民でなくとも心配になるに違いありません。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー 」に登場するビフのモデルはトランプ大統領だった。

つい先日、会社で部下の男性とトランプ大統領の話をしていたところ、彼が言いました。「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」悪役ビフのモデルはトランプ大統領、だと。

言われてみれば、たしかにそっくり。確かビフは主人公のマーティ・マクフライが未来から持ってきた雑誌を手にすることで、未来の情報を手にして大富豪になっていたはず。しかも、映画の詳細はわからないのですが、ビル・タネンの経営するカジノはトランプタワーそっくり。

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実際に脚本を担当したボブ・ゲイル氏は米ニュースサイト「デイリー・ビースト」のインタビューで、それが事実だったと公表しているそうです。
映画の中で1985年から未来に来たマーティが「ビフは今何をしているの?」と質問すると「彼は今、大統領選に出馬してるよ」と。「ビフを大統領に!」という横断幕あるというのですが、これはびっくり。トランプ大統領の出現を予言したとして話題になっていたんですね。知らなかった。

映画の中では、ビフはものすごい悪人に描かれています。トランプ大統領に反対する多数の人が想像する最悪の未来も、ビフに似たような象徴的な悪人像があるからかもしれせん。実際、オバマ元大統領は私が知る近年の米国大統領の中でも最も高潔な人物のように見えましたので、このギャップは大きいですよね。

「馬鹿のように振る舞うが馬鹿ではない」

こうトランプ氏のことを評する人も多いようです。実際のところ、本当はどうなのか、今、トランプ大統領はスタート地点に立ったばかりです。とにかく予測のつかない大統領の意外性に今後期待をしたいと思います。