さるぼぼ母です。
キムタク主演のTBS日曜劇場ドラマ『A LIFE〜愛しき人〜』の第9回のあらすじと感想です。
*ネタバレが含まれますので、ご注意ください。
壇上壮大は沖田のミスに乗じて、深冬のオペを自分が行うことを宣言する。
父親の沖田一心(田中泯)のオペでミスをした沖田一光(木村拓哉)。特別な人のオペでは沖田ですらミスをする、という事を知った壇上壮大(浅野忠信)は壇上深冬(竹内結子)の脳腫瘍のオペを自分が行う、と沖田に宣言する。深冬は自分の家族だ、という壮大と、自分の患者だ、という沖田は対立する。その時、深冬の様態が急変した。
深冬が急変した原因は新鮮出血だった。そのため、オペは3週間後に延期されることになる。様態が安定するのを見計らって、いったん退院して自宅に戻ることになる深冬。
「もっと早くオペすればよかった」と後悔する沖田。被膜外出血によって腫瘍が分断され、癌が見えづらくなり難易度がアップしたのである。
壮大は院長の壇上虎之介(柄本明)に難易度が上がったオペをできるのは自分しかいない、と説明する。沖田でさえ父親のオペでミスをしたことを指摘して、家族のオペはできるのか、と心配する虎之介。
「沖田先生と僕は違いますから。必ずやり遂げます。深冬は僕が救います」と壮大。
一人の女性患者が救急で運び込まれていた。患者の安井亮子の息子である知樹は「最高の先生に見てほしい」と女性を診察する井川颯太(松山ケンイチ)に懇願する。
現職の大臣の難易度の高い手術を引き受ける壮大に対して、父のオペのミスを引きずる沖田。
その頃、壮大のところに脳神経外科学会理事長の草野康浩から眼科内腫瘍の患者を引き受けてくれないか、という依頼が来ていた。治療の手立てがなく回ってきたその患者を手術できるのは壮大ではないかというのであった。壮大は前方(顔面)からのアプローチを提案する。難易度が高いその方法を自分ならできる、と断言する壮大。この患者は現職の厚生労働大臣桜井充だったのである。
父の沖田一心が言った言葉が頭から離れない沖田。
「相変わらずお前は半人前だな。そんなんで人様の命を預かれるのか」
そこに井川が現れて救急で運び込まれた女性を見てほしいと言う。狭心症と頸動脈狭窄症でできる治療がないらしいと聞いて即座に引き受けることにした沖田。
桜川記念病院との合併の進展を聞きにきたメインバンクの融資担当を前に座る壮大と外科部長の羽村圭吾(及川光博)。羽村は病院内の合意を取り付けるべく根回ししている旨を語りはじめた。ところが、いきなりこの件について見送りたいと話を覆す壮大。
自らが今度行うことになった現職の大臣のオペを成功させることでブランド力がアップするというのである。
その言葉に呆気に取られる羽村と銀行の担当者。
沖田は救急で運び込まれた安井亮子と息子の知樹、母の安井久乃にオペについて説明しようとしていた。この病院にはベルギーの王様の家族を手術した先生がいる、その先生なら絶対失敗しない、その先生に手術してほしいと頼む知樹。「その先生は絶対に失敗しないんでしょ」という知樹に自分がオペを担当した本人であるということを伝えられらない沖田。
大臣の手術を成功させ、深冬のオペも行うという壮大に対し、自分を見失いそうになる沖田。
虎之介に大臣の眼下内腫瘍のオペをすると伝える壮大。成功すれば病院の名声は上がるが、失敗すれば地に落ちる。深冬のオペがあるのに君と心中しろというのか、という虎之介だったが壮大のオペを了承した。
大臣のオペが成功したら深冬の手術をする、と沖田に伝える壮大。自分は沖田とは違う、どんな困難も自分で乗り越えてきた。深冬のオペが必要がなくなった以上、シアトルに戻れ、という壮大の言葉に複雑な思いの沖田だった。
順調に回復した一心は退院しようとしていた。壮大と違ってこいつは半人前だが、よろしく頼むと一心は壮大に頭を下げた。
沖田はオペナースの柴田由紀(木村文乃)に安井亮子のオペの手伝いを頼もうとするが、壮大の眼窩内腫瘍のオペの準備で柴田はスケジュールを押さえられていた。自分の代わりに三条なら、と柴田が推薦するが、沖田は代わりにならない、と断言した言葉を当の三条が聞いていた。
壮大は大規模なオペチームを編成した。オペ当日もこの注目度の高いオペに多くの見学者が訪れるだろう、この病院の未来がかかってる大事なオペだ、と得意げに語る壮大。
沖田は沖田で安井亮子のオペのシミュレーションをオペナースの三条、井川と行おうとしていた。限られた時間の中で一分一秒が勝負になるオペ。しかし三条の手際は悪く、沖田はいちいち細かくそれを指摘する。見かねた井川が進言しにくるが、沖田は聞く耳を持たない。
「今の沖田先生に深冬先生のオペができるとは思えません」と井川。
心の中を見透かされたような気がした沖田だった。
少年の一途な心と一心の言葉によって、やっと自分を取り戻すことができた沖田。
沖田が安井亮子の病室に行くと、息子の知樹が“ベルギーの先生”に渡して欲しいものがある、と差し出した紙切れがあった。それは“一億円の借用書”と手書きで描かれた紙きれだった。祖母の安井久乃が慌てて孫の失礼を詫びにやってきた。母一人子一人の親子。パートを掛け持ちで生計を立てている母が自分のせいで病気になったのではないかと心配する知樹が、何としてでも助けたいと思ってしたこと、と久乃は語った。
退院したばかりの父の体調を心配して自宅に帰った沖田を待っていたのは、カウンターに立って包丁を研ぐ一心の姿だった。
「心配して損したわ」という沖田に「半人前のくせに」という一心。
「どこまで行ったら一人前だというんだよ、俺だって俺にしかできない大変なオペをこなしているんだ」という沖田を一心は鼻で笑った。
「俺にしかできねえ?そんなこと言ってるからいつまで経っても半人前なんだ。相手が誰だろうとそのためだけに準備をする、心をその一点だけに集中させるんだ。雑念は入らない、一途一心だ。それが職人てものだろう」
一心のその言葉を聞いて病院に戻った沖田は三条を探した。すると、井川と柴田と共にオペの練習をしている彼女の姿を見つける。三条に自分の態度を謝罪してあらためてオペの準備をする沖田。
羽村は顧問弁護士を辞めた榊原実梨(菜々緒)とバーにいた。
「顧問弁護士を辞めて正解だったかも。もう副院長に振り回されるのは懲り懲りだよ」と羽村。
「今度は何があったんですか?」と聞く榊原に壇上記念病院を乗っ取る話を壮大がひっくり返したことを話す羽村。
「副院長は心の底に不安を抱えているから目の前の事に集中できない。所詮土台は不安定だからそのうち崩れるでしょう。自滅すればいいんだわ」と語る榊原に対し「頼みたいことがある」と羽村。
安井亮子のオペを成功させた沖田には迷いはなかった。一方、壮大も大臣のオペを成功させる。
安井亮子のオペが始まった。難易度の高い手術を短時間で連続で行わなければいけないにもかかわらず猛特訓の成果で三条の仕事も安定し、手術は無事成功する。手術を終えた沖田を待ち構えていた知樹はベルギーの先生に“借用書”渡してくれなかったのか?と詰め寄る。知樹にそんなことは必要ない、全力でやってるから、と諭す沖田。渡してくれなかったことを責めようとする知樹に横で聞いていた井川は沖田がベルギーの王様の家族の手術を担当した先生だ、と話す。
沖田にもう迷いはなかった。
深冬は再入院までの一週間、自宅に帰ろうとしていた。沖田の表情が明るいことに気がついた深冬。「いいオペができた」という沖田に「私の時もよろしくお願いします」と深冬。
壮大が担当する眼窩内腫瘍のオペが始まった。前方アプローチによる眼窩内腫瘍摘出術である。病院中ほか、外部からの見学者が多数手術を注目する中、壮大は落ち着いてオペを進めていた。柴田は的確にオペをサポートし、手術は見事成功した。それを見た羽村の表情は固かった。
壮大の裏切りへの復讐を決意した羽村は榊原と共に虎之介に壮大の謀略を暴露する。
大勢のマスコミを前にして手術の成功が記者会見で発表され、壮大が得意げに手術の概要を説明していた。それをじっと見つめる羽村。
戻ってきた壮大を沖田は絶賛する。あらためて深冬のオペを自分がやると伝える壮大。自宅に戻った壮大は深冬にオペを自分が行うと告げる。それを聞いて複雑な表情の深冬。
病院で知樹に呼び止められた沖田。知樹は母を救ってくれたことを感謝すると共に、沖田のような医者になりたいと告げる。少年を励ます沖田。沖田もまた、知樹の一途な態度によって医者とは一途一心に仕事をすることが大事だと気付かされたのだった。もう沖田は以前の沖田ではなかった。
深冬のオペに向かってコンディションを整えようと沖田を励ます柴田と井川。
羽村は折り入って話があると榊原を連れて院長室の虎之介を訪れた。
壮大と沖田を呼んだ深冬。二人に話があるという。自分のオペは沖田に担当してほしいという深冬。それを聞いて失敗しても沖田なら良いのか?と憤る壮大。その時、虎之介が入ってきた。
「壮大君。君を解任する」
虎之介は榊原と羽村から、壮大が病院を乗っ取ろうとしていたことを聞かされたのである。否定する壮大に榊原が提出した桜坂中央病院との提携の契約書を突きつける虎之介。その契約書には桜坂中央病院に壇上記念病院を飲み込ませようとしていた壮大の動かぬ証拠が記されていた。
弁解しようとする壮大に虎之介は言った。
「今すぐこの病院を出ていきなさい」
(第9話終わり。つづく)
さるぼぼ母の感想
放映されてから時間が空いてしまいましたが、物語はクライマックスを迎えました。深冬の愛情を勝ち取るために、病院を利用し、羽村を欺き、沖田を出し抜こうとする壮大でしたが、その目論見は崩れ去ろうとしていました。
なぜここまで壮大が深冬の愛情を勝ち取ろう、沖田に勝とうとするのが今だに理解できない私です^^;。沖田と深冬の間に確固たるものがあるわけでもなく、自らは深冬と家庭を設け、愛情を育んできたはずなのに、です。
この一点に物語が集約していることに正直ここまで来ても違和感を覚えますね。とはいえ、視聴率はなぜかうなぎ登り。前回、15.3%と大幅な回復を見せました。今回の第9話は14.5%と少しダウンしましたが、WBCと重なったことを考えると大健闘といえる出来栄えでしょう。やはりキムタクは強いんですかね。話題の「カルテット」が10%前後で低迷していたのに比べ、正直この数字はすごいです。
「カルテット」といえば、ものすごい展開を見せています。もともとシュールで非現実的な世界を描いた物語で、一般受けしないかな、的なところはあるのですが、ここに来て主人公の早乙女真紀(松たか子)が存在しない人物であるという展開に。あまりの奇想天外で大人の世界観を描いたこの作品が当然万人受けするわけはないのでしょう。
話を「A Life」に戻しますが、そういう意味ではこの話は単純でわかりやすいのかもしれません。ただ、最初からしつこく言ってましたが、登場人物の心理描写が荒く、正直言って感情移入することがむずかしいですね。壮大がなぜそこまでして沖田を打ち負かそうとするのか。自分の感情に振り回され続けるのか、沖田と深冬の本当の気持ちもあまり伝わってこないんですよね。結局このドラマは深冬のオペを誰がするかを巡って終始するということだったんでしょうか。
と、ずーっとディスってきたこのドラマもあと一回^^;。病院を出てけと虎之介に宣告された壮大はどうなるんでしょう?そして深冬のオペはいったい誰がやるのでしょうか。残すはあと1回。最後まで見届けていきたいと思います。