『おんな城主直虎』 第34回「隠し港の龍雲丸」のあらすじと感想

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さるぼぼ母です。

『おんな城主直虎』第34回「隠し港の龍雲丸」のあらすじと感想をご紹介したいと思います。

*詳細なネタバレが含まれますのでご注意ください

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近藤の罠にかかり、政次を自らの手で刺し殺した直虎。


「地獄へ落ちろ、小野但馬。地獄へ。ようも、ようも我をここまで欺いてくれたな。遠江一、日の本一の卑怯者と未来永劫伝えてやるわ」

井伊直虎(柴崎コウ)近藤康用(橋本じゅん)の謀略にかかり磔となった小野但馬政次(高橋一生)の胸を槍で刺しながら言った。
政次は直虎を見つめ、血を吐きながら言った。

「少子、おなご頼りの井伊に未来などあると思うのか?生き抜けるなどと思うておるのか?家老ごときにたやすく謀られるようなおろかな井伊が、やれるものならやってみろ。地獄の底から、見届けて…」

そう言って直虎の片腕でもあり、幼馴染みでもあった小野政次は絶命した。
寺に戻った直虎は碁盤を見つめていた。

自らの企てにより、近藤康用はついに井伊谷を手に入れたのだった。
「次郎様自らとどめを刺されるとは、驚きましたな」と近藤。
「この後、井伊へのお咎めは?」と南渓和尚(小林薫)
但馬の一件により落着としてよいだろう、家康もそれ以上は望まないだろう、と近藤は言い、和尚はそれに対して礼を言った。

寺に戻ると和尚はその旨を昊天(小松 和重)に伝えたが、油断ならないだろう、と語った。直虎の様子を聞く和尚に昊天は言葉を濁した。
「大事無いといえばそうなのですが...」

自らの手にかけて政次を殺した事を信じたくない直虎は政次を一人待つ。


直虎は一人碁を打っていた。
「政次を偲んでいるのか」という和尚の言葉に直虎を見守る中野直之(矢本悠馬)は頷いた。

井伊谷城の廊では、政次の辞世の句を近藤の家臣が見つめていた。
「捨ててしまえ、そんなもの」と近藤は言った。


川名の里。政次の最後について祐庵尼(財前直見)なつ(山口紗弥加))らに伝える直之ら。
「殿のお手にかかったのなら、義兄上も本望であったでしょう」というなつの言葉を聞いて亥之助は泣きながら外に飛び出した。

祐庵尼は直虎の身を案じていた。覚悟の上とはいえ、但馬を刺し殺すとは、と。
直虎が一人で碁を打っていること、政次とよく碁を打ちながら事を進めていたと昊天は言った。
「一度あの子をこちらに引き取ることはできませんか?」と祐庵尼は言った。

寺に戻った昊天は和尚とともに直虎に隠し里に行くことを勧めたが、直虎は言った。
「いえ、今宵あたり但馬が来るやもしれませぬ。近藤殿はどうも井伊への企みを抱いているようなのです。但馬が来たら、どうやって処するか話をせねばなりませぬゆえ」
それを聞いた和尚と昊天は顔を見合わせた。

瀬戸方久は戦線の風向きを読んで早々に徳川に着く。


一方、井伊を抜けた徳川勢は遠江を抜け、引馬(浜松)に入城。今川氏真(尾上松也)のいる掛川城に向かおうとしていた。
徳川の陣営では家臣たちによる戦略が立てられていた。湖岸の大沢はなかなか厄介だと酒井忠次(みのすけ)は言った。
そこに松下常慶(和田正人)がやってきた。
「先ごろ、井伊の方が揉めたと聞いたのですが」と常慶。
思わぬ手向かいがあったが、近藤ら今川三人衆がうまく対処したと酒井は語ったが、常慶は怪訝な顔をした。
徳川家臣本田忠勝(高嶋政宏)は、常慶が持ってきた箱を見て何かと尋ねた。
「種子島にございます。徳川に戦道具や兵糧をお納めしたいと申すものが参ってますが、お目通りしてもよろしいでしょうか?」と常慶。

それを聞いて徳川家康(阿部サダヲ)は立ち上がった。
「それは何よりありがたい。はよう、そのものを」
種子島を持ってきたのは、なんと瀬戸方久(ムロツヨシ)だった。
「この他にもご入り用のものがありましたら、何なりとお申し付けくださいませ」という方久にどこの商人だと家康が尋ねると、方久は言った。
「よくぞ聞いてくださいました。某は商人にして気賀の城主、瀬戸方久にございます」

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龍雲丸は直虎の様子に驚き、気賀では中村屋が徳川に着く算段をし始める。


直虎が一人で碁を打っている見た龍雲丸(柳楽優弥)は南渓和尚に何をしているのかと尋ねた。
「近藤の企みを潰す策を考えておるのだそうじゃ。次郎の頭の中ではいまだ徳川は来ておらぬようでの。近藤の企みは前もって掴んでいることになってるらしい。どう処すべきか但馬と話す、と言うておる」と和尚。
「但馬様が?但馬様がまだ生きているってことに?」龍雲丸は目を丸くして驚いたが和尚はうなづいた。
「言うてやらねえんですか?」
「言葉の端々ににじましているのだが、信用せぬのか、そこだけ聞こえておらぬようでどうしたら良いものか」と和尚。
和尚らしくないという龍雲丸に対し、直虎を城主にしたのは自分だし、これほど追い詰めたと思うと、と言葉を濁した。
「まあ、ああやってる分にはつらそうじゃないし、本人は意外に幸せなのかも。憐れってのはこっちの勝手な見方でさ」と言ってその場を去ろうとする龍雲丸に和尚は、老婆心ながら今一度気賀の動きを巻き込まれぬように確かめておく方が良いだろう、と忠告した。

気賀に戻った龍雲丸は中村屋(本田博太郎)に尋ねると、方久が徳川にすでに内通しているという。徳川についたほうが此度は得策だろう、と考えているようだ、と中村屋。しかし龍雲丸は言った。
「そう考えて、徳川についた井伊は足をすくわれましたがね。井伊は徳川と結んでいたにもかかわらず、最後は見捨てられたんでさ。徳川ってのは信用ならない」
「しかし、井伊と気賀では事情が違う。湖畔では今川に忠誠を誓うものが多く、徳川は苦戦しているという。我ら気賀だけが徳川の見方。井伊のような憂き目には遭うまい」と中村屋は言った。

龍雲党に戻ってくると龍雲丸は井伊の様子を伝え、荷物をまとめるように言った。
「戦の匂いがしてきたからな。いつでも逃げ出せるようにしないと」

直虎の心は壊れてしまったのか。延々と政次を待ち続ける。


龍潭寺。修行する僧たちの耳に「ガシャ」という音が聞こえて行ってみると、直虎が碁盤から碁石を撒き散らしていた。どうしたのかと尋ねる昊天に直虎は言った。
「いい策が思いつかず。今宵あたり但馬が来るやもしれませんし」
「但馬が来たら、相談してみればいいじゃないですか」と昊天。
「考えなしでは但馬に馬鹿にされますゆえ」と直虎。

昊天がたまりかねて政次が死んだことを伝えようとすると、和尚は考えねば、共に考えるか?と聞いた。うなづく直虎。

傑山(市原隼人)は昊天に言った。
「道に迷っておるものに、どこにおるか声を上げよと言っても無理な話であろう。和尚様は共に迷うことでゆっくり手を引いてあげようとしているのではないか」
わからないでもないが、うまくいくのだろうか、と昊天。

直虎は和尚を前に言った。
「常慶が言うには、近藤殿は井伊を乗っ取ろうとしておるらしいのです」
では早々に手を打たねば、という和尚の言葉に対し
「これを止めねば今までの但馬の苦労が全て無に帰してしまいます。何としても近藤殿を止めねば」と直虎。その時草むらが動き、直虎は縁側にかけよった。
「待ちかねたぞ但馬!」
しかし、それは但馬ではなく、猫だった。

家康は浜名湖岸と掛川城に苦戦し、どちらも膠着状態となる。


その後家康は引馬城を拠点として、浜名の湖岸と掛川城を攻めていたのだが、徳川の猛攻にも拘らず氏真が立てこもる掛川城は持ちこたえ、膠着状態となっていた。

浜名の湖岸でも大沢城の大沢基胤(島田久作)が領地を奪還し、徳川は船を奪われて苦戦を強いられていた。大沢はとうとう気賀にも攻め入ってきた。

気賀・堀川城にも攻め入った大沢軍は方久が徳川に武器を調達していることを指摘した。方久は危機一髪で命からがら堀川城から脱出した。
大沢の家臣は方久が逃げたことを残された民に伝え、徳川と戦うように命じた。
一部始終を見ていたモグラ(マキタスポーツ)は龍雲丸にそれを伝えた。

その時、中村屋がやってきて気賀の民を乗せられるだけ船に乗せて徳川のところに逃げる、と龍雲丸に言った。
「けど、徳川が勝つとは限りませんよ?」と龍雲丸。
「このままでは大沢に捕まって戦わされるだけだ。どうだ?わしらと一緒に逃げないか?」と中村屋は言ったが、龍雲丸はそれを断った。

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井伊谷三人衆の一人鈴木重時が政次の辞世の句を持って現れ、直虎は政次が死んだことを思い出す。


直虎は井戸の側で政次を探していた。そこに現れて政次は見つかったか、と聞く和尚。
「夕べ、たしかにここで待っておると言ったのですが」と直虎。
その時、井伊谷三人衆の一人である鈴木重時(菅原大吉)が現れた。
鈴木は渡したいものがあると言い、何やら書を取り出した。
「但馬殿の辞世だそうです」それを聞いて顔を見合わせる和尚。
「辞世?なにゆえ辞世などがあるのだ?」と直虎。
「牢番殿が捨てるに偲びない、と」という鈴木の言葉に直虎は言った。
「牢?どういうことじゃ?」という直虎のおかしな反応に鈴木も怪訝そうな顔をした。書を預かろうという和尚を遮って、直虎はその書を読んだ。


白黒をつけむと君を一人待つ。天つたう日ぞ愉しからずや。


そこにはそう書いてあった。
その瞬間、直虎は自分が政次を刺し殺した事を思い出した。蘇る記憶。
「ああ、もうおらぬのでしたね。但馬は。但馬はもう....私が....」
そう言って泣き崩れる直虎。

そのことを和尚から聞いた鈴木は謝罪した。
「分かれという方が無理にございましょう」
「井伊谷城開城の折、某は側におりながら止めることができず、ただ、流されるばかりで。情けのうございます。何かお役に立てることがあれば申し付けください」と涙ながらに言う鈴木。
「では、教えてくれますかのぅ。但馬を生きて返す術を」と和尚。
「いや、覚悟はしてましたゆえ。これより、堀江の大沢攻めに向かいます。また、参ります」と力なくその場を去る鈴木だった。

堀川城は大沢に乗っ取られ、船で逃げた中村屋は船を家康に差し出す。


その頃、堀川城には続々と気賀の民が集められていた。悟空(前田航基)力也(真壁刀義)もその場に居た。その時、大沢の家臣が言った。
「おぬしらの城主はおぬしらを置いて逃げた。近く徳川が攻め入って来るのを恐れてのことだ。おぬしらは見捨てられたのだ」
徳川は今川より寛大ではなく、戦戦で成り上がってきた鬼のような奴らである。勝てば略奪の限りを尽くそうとするし、その下に着いたとて、人買いに売られるだけ。と大沢たちは言った。

龍雲丸は逃げ出すよう算段した。船で逃げる準備をする龍雲丸たちの前に逃げようとした民が捕まるのが見えた。

引馬城の家康とその家臣は掛川城と浜名湖岸に苦戦を強いられて苛ついていた。そこに方久が命からがらやってきて、堀川城が大沢に奪われたことを語った。
「潮の満ち引きなど何でもお教えしますので、どうか城を取り戻してください」と方久。そこに常慶が現れ、気賀の中村屋が船を率いてやってきたことを伝えた。

中村屋は家康に頭を下げた。
「ただいま、気賀の城は大沢の者たちに乗っ取られ、町の者たちは無理やり兵として城内に連れていかれております。いらぬ刃を交えるよりは、こうして急ぎ民を乗せ、徳川様の下に馳せ参じたわけです。どうか我らをお助けください。気賀に戻った暁には、船・武器・兵糧などを力を尽くしご用意致します」

家康は言った。
「方久。あの城の船着は表だけか?」
「いえ」と方久。
「丑の刻に潮が満ちるのはいつか?まずは城の裏に船を着ける。そこで囚われた民をこちらの船に逃げ込ませる。そうすれば城内に残るのは大沢の者のみになる。落とすのは容易かろう」
「そして、その大沢の武将たちの首と引き換えに大沢の降伏を求める」と本田忠勝。
「たしかに妙案にございますなあ」と酒井はしぶしぶ言った。
家康は中村屋に船を借りると告げた。

堀川城から逃げ出そうとする気賀の民を襲う酒井率いる徳川軍。


龍潭寺。直虎の様子を見に行った昊天に様子を尋ねる南渓。ようやく横になった、と昊天が言うと政次の辞世の句を出してあらためて見る和尚。
「よい歌ではないですか。あの世でゆるりと待ってるゆえ、案ずるな、と」と昊天。
「今度はわしが見てこよう。政次が待ってるなら自分も行かねば、と言い出しかねないからな。あやつにとっては真に辛いところだからのう」と和尚は言った。
直虎は泣いていた。

堀川城では龍雲丸が大沢の兵を水に落とす計画を立てていた。鎧を着ている兵は水の中では動けないから時間稼ぎになるだろう、とモグラ。
大沢軍は徳川がなかなか攻めてこられないと油断していた。その時、明かりが消え、闇の中で兵たちが水に落とされた。大沢の指揮官に刃を向ける龍雲丸。
「侍は侍同士、てめえらだけで戦え。人のふんどしで相撲取ってるんじゃないよ。馬鹿」
兵と揉み合い戦う龍雲丸たち。その時、悟空が海に中村屋の船を見つけた。徳川の助けが来たと喜んで手を振る悟空。しかし、悟空の胸に矢が刺さった。
次々に気賀の民に向かって矢が放たれる。
「このやろうが!」と力也。
陣頭指揮を採っていた酒井に家臣が報告した。
「第一陣が城の裏手に攻め入りました」
「よし、そのまま攻め落とせ」と酒井。
それを聞いた方久は驚いて、気賀の民は助けると家康が言ったはず、と酒井にくってかかるが、そしらぬ顔をして酒井は続けた。
「生ぬるいことでは大沢は落とせん。手向かいをした、それまでのことだ」

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血の海となる堀川城。龍雲丸を刺したことを夢見た直虎は飛び起きる。


力也も悟空もモグラも無残に斬られて生きているか死んでいるかもわからなかった。そこらじゅう、血の海だった。大沢軍と徳川軍の戦いになり、さらに戦闘はは激しくなる一方だった。
龍雲丸は倒れたカジ(吉田健吾)を抱き起こし、助け出そうとした。
その時、後ろから龍雲丸を槍で突いたものがいた。龍雲丸が振り返ると、それは槍を持った直虎だった....。

直虎は大きな叫び声を上げて起きた。
和尚が驚いてやってきた。龍雲丸を刺したのは夢だったのだ。
「夢を見た....人を殺す夢を」と直虎は泣き声を上げた。
「夢じゃ。朝がくれば終わる」と和尚が口にした時、そこに方久がボロボロになって現れた。その様子に驚く和尚。
「どうしたのじゃ。その格好は?」
「気賀が、気賀が徳川に襲われました」

直虎は自分が今しがた見た夢を思い出して走り出した。
(第34回終わり。続く)

さるぼぼ母の感想。


政次の死が日本中(大げさ?)を覆った先週の余韻がまだ冷めやらぬ中、直虎のショックも相当なものでした。あの回が究極の愛のかたちと言うマスコミも多かったようで、思い返してみれば、直虎と政次は一言もその愛や気持ちについて語ったこともなかったのに、これほどの愛を感じるとは、森下脚本の凄さをあらためて感じさせられたように思います。

しかし、ショックを受けて政次を待ち続ける直虎の憐れなこと、そして政次の愛が込められた辞世の句がまた涙を誘うのでした。

という余韻を噛みしめる間もなく、堀川城が落とされることになります。そして、またしても家康の家臣である酒井の手によって、今度は龍雲丸たちもが虐殺されてしまうのでした。直虎の夢は正夢となり、龍雲丸も死んでしまうのでしょうか。

しかし、前回書きませんでしたが、阿部サダヲさん演じる家康の武将からぬこと。また、前回直虎が牢に居るときに現れて、土下座するだけでなく、そのまま後ずさっていくあの姿はおそらく、ご本人のアドリブ(というか演技)だったのでしょう。あそこまでコミカルは家康は今までの時代劇ではあり得なかったと思います。

今後ますます出番が多くなっていく阿部サダヲさんの家康が楽しみです。
政次ロスでおそらく視聴率を落とすことになるだろう直虎ですが、今後のさらなる盛り上がりを期待します(私は楽しみにしていますよ)。