『おんな城主直虎』第38回「井伊を共に去りぬ」のあらすじと感想

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さるぼぼ母です。

『おんな城主直虎』第38回「井伊を共に去りぬ」のあらすじと感想をご紹介したいと思います。

*詳細なネタバレが含まれますのでご注意ください

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近藤は武田への帰順を拒否し、井伊の城を焼け払った。


強大な武田信玄(松平健)に抗してあくまで戦うという近藤康用(橋本じゅん)に対し、直虎(柴崎コウ)は兵力となる井伊の民を逃がすという手段で近藤を思いとどまらせようとした。しかし、近藤は武田に帰順することを拒否し、直虎たちと逃げると同時に井伊城に火を放ち、井伊城は焼け落ちた。

しかし、井伊の村々がすべて裳抜けの空になったことを知った信玄は激怒し、井伊のすべての里の家々に火を放ち、焼き払ってしまった。

川名の隠し里に中野直之(矢本悠馬)が近藤を連れていくと、このような場所があったことに驚く近藤だった。

一方、直虎は高瀬(高橋ひかる)に燃え盛る城の中で何をしていたかを心配して尋ねたが、それに対して「近藤さまがおかわいそうで」と答える高瀬。

直虎と南渓は近藤と井伊が仲違いをしていると見せかけて武田を欺くよう画策していた。


その頃、南渓和尚(小林薫)は武田信玄に話をつけるべく面会していた。

南渓和尚は信玄にこう伝えた。武田軍が攻めてくるのを知って、井伊の残党が近藤に対して兵を上げたこと。そして、武田軍が来たことを好機と捉え、民百姓を逃散させて近藤を追い詰めたが、城に火を放たれたこと。また、民百姓も近藤の支配を望んでおらず、井伊の家名を復活させ、さらに安堵してほしいことを信玄に願い出たのだった。

信玄はその話を面白そうに聞いていた。

一方、龍雲丸(柳楽優弥)は高瀬の様子がおかしいと直虎に伝えた。城が燃え落ちる時も逃げる様子もなくボーッと佇み、死ぬ気に見えた高瀬に対し、龍雲丸は目を離さないほうがいいと言った。

政次が高瀬について武田の間者ではないかといっていた言葉が直虎の脳裏に蘇った。

そこに傑山(市原隼人)が現れて信玄からの文を直虎に渡した。そこには、近藤の首と引き換えに井伊谷を井伊に返すと記されていた。

近藤にその内容について直虎が伝えると、近藤は烈火の如く怒ったが、直虎は近藤を説得した。井伊と近藤が反目し内輪もめしているように武田を含めた大名たちに見せかけるというのが直虎と南渓和尚の策略だったのである。

武田が強いうちは井伊が表向き治めているように見せかけ、徳川が強くなれば、井伊を追い払ったと言えばいい。武田の勢いが続くのであれば、直虎が死んだと言って恭順すればよい、と直虎は近藤に語った。

しかし、近藤はなかなか直虎を信じようとしなかった。

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高瀬の正体は一体?武田の間者とならなければ売られてしまう運命だった高瀬。


その夜、高瀬が近藤に薬を持っていくのを見かけた直虎は、高瀬を呼び止め、自分がその薬をもらうと飲もうとしたが、高瀬は薬の入った茶碗を払い除けた。逃げようとする高瀬を呼び止め、直虎は聞いた。

「そなたは武田の間者か?そうであろう。直親の娘というのは偽りだったのか」

「それは違います。母が父は亀之丞様、と言っておりました」と高瀬。

直虎は、なぜ高瀬が武田の間者となったのかを尋ねた。すると母が死んだ時に多額の借金があり、井伊に間者となれば借金を引き受けると武田から話が来たというのだった。
それを聞いて、近藤を殺そうとしていたのかを高瀬に問い詰める直虎。

高瀬は思い詰めた表情で、近藤を殺せば直虎が井伊に戻ることができる。自分がよくしてもらった井伊にできることはそれだけだ、と口にした。

しかし、直虎は高瀬の頬を叩いて叫んだ。
「そんなこと誰が頼んだ!」

そして、高瀬を抱きながら言った。

「辛かったろう、高瀬。もっとそなたの話を聞いてやれば良かった。高瀬、我は井伊をもう再興しようと思っておらん。だからそんな物騒な事は考えるな。武田もうまく丸め込むことができたから、そなたがそんなことをする必要もないだろう。これからは、ただの娘としてここにおればよい」
高瀬を強く抱きしめる直虎だった。

その頃、南渓和尚は武田信玄と酒を酌み交わしていた。武将として立ちたいと思ったことはなかったのか、と尋ねる信玄に対して、戦は好きではないので生臭坊主が自分には性に合ってる、と答える南渓。

今度は信玄に対して戦に飽きたり疲れたりしないのか尋ねる南渓だった。

「甲斐というのはな、山に囲まれた厳しい土地でな、切り拓き、他国を襲わねば生きていけなかった。戦に強くなることこそが何よりの生業、疲れている暇さえなかった」と信玄。

来生何になりたいかと尋ねる南渓に、信玄は皆をあまなく照らすお天道様になりたいと語った。

近藤が直虎の案を了承し、井伊の復興が始まると、龍雲丸は直虎の様子を見て迷いはじめる。


川名の里。直虎が近藤に薬を持ってくると、直虎を疑っていた近藤がやっと大名たちを欺くという直虎の案を了承した。

さっそく、直虎は百姓たちに村に戻ることができることを伝えた。喜ぶ村人たちだったが、直虎は武田が家々を焼き払ったことを伝えて土下座して謝ったが、百姓たちは直虎をなだめて一からやり直すと明るく言うのだった。

直虎は新しく寄り合い場を作ることを提案し、百姓たちと共に井伊谷の復興をはじめたのだった。

井伊谷の復興に力を尽くす直虎を見て、龍雲丸は複雑な気持ちになる。
ちょうどその時、中村屋(本田博太郎)が龍雲丸と直虎を堺に連れていくために井伊に立ち寄った。

中村屋が龍雲丸に堺の相談をするのを見て、直虎は自分が龍雲丸と共に堺に行くと言ったことを思い出していた。すっかり井伊の復興に忙しくしていたので、それを忘れていたのである。今、自分が行ってしまってよいかどうか直虎は迷っていた。

家に戻った直虎に龍雲丸は井伊に残るべきではないかと伝える。井伊がまさに直虎が志していた土地になろうとしているのではないか、その先を見たくないのか、と龍雲丸。
しかし、直虎は龍雲丸とともに堺に行き、新しい暮らしがしてみたい、と龍雲丸と一緒に堺に行く決心を伝えた。

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寿桂尼の怨念が信玄を殺したのか。武田信玄の突然の死により状況は大きく変わろうとしていた。


その頃、徳川家康(阿部サダヲ)は武田の猛攻撃により、遠江の城を次々に奪われていた。家康たちが劣勢の戦況に焦りながら城の中を歩くところに、今川氏真(尾上松也)寿桂尼(浅丘ルリ子)の命日を笙を奏でながら偲んでいるのに出くわす。
「この苦境も何とかしてくれるかもしれんからの」という氏真の言葉に
「滅びるわけじゃ。今川は」と家康の家臣も呆れるのであった。

その夜、武田信玄は家臣の舞を観たあと、いい気分になっていた。
「青二才どもめ。二度と大口を叩けぬようにしてやるわ」と信玄。

いい気分になった信玄は遊び女を呼んだ。馴染みの遊び女は信玄を慕ってきたと言った。
と、その顔を見るとなんと死んだはずの寿桂尼ではないか。
「冥府より、お迎えに参りました」
信玄は血を吐いて倒れた。そのまま帰らぬ人となったのであった。

南渓は死んだ井伊の人々に直虎が堺に行くことになったことを報告していた。その時、傑山が慌ててやってきて、信玄が亡くなったことを伝えた。情勢が大きく変わろうとしていた。

堺に経つ直虎と龍雲丸だったが、井伊に戻れという龍雲丸の言葉に直虎は戻る決心をする。


その頃、直虎は龍雲丸と共に堺に経とうとしていた。そこに和尚がやってきたが、直虎に信玄の事を伝えず、そのまま送り出そうとする。その空気になにかおかしな事が起きたのではないかと直虎は感じる。

行く道中、直虎は考えていた。人の話も聞いてない直虎を引っ張り、龍雲丸は言った。
「勝手に付いてくるんじゃない。婆あ。鬱陶しいんだよ。前の男に未練たらたらで。嬉しくも何ともない。城も家もなくともあんたはここの城主なんだ。だから戻れ」

堺への道を行こうとする直虎に呼び止めた龍雲丸は言った。
「今行かなくとも、やることやって終わってから来ればいい。待ってるから」
「そんな日など来るわけないではないか。何一つ案ずることなく、戦もない。そんな日など来るわけないではないか。ここで行かねば頭と生きることができないでないか」と直虎。

龍雲丸は直虎を抱きしめた。10年、20年先はどうなってるかわからないだろう、という龍雲丸に対し、そんな先まで待ってくれるわけない、それこそ婆あになってしまうと直虎。
しかし、龍雲丸は言った。

「あんたみたいな女が他にいるかよ。兵一人使わず街を手に入れ、人ひとり殺さず戦を乗り切り、したたかに世を変えていくんだぞ。そんな女が他にどこにいるんだ?」

直虎は言った。
「やはりな、待たずともよい。頭にはやはり、心のままに生きてほしい。なれど、あの約束だけは忘れんでほしい。我より先に死なぬ、と」
それを聞いて龍雲丸はうなづいた。
「達者でな」という直虎に「そっちもな」と龍雲丸。ここで二人の道は分かれたのだった。

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武田と徳川の戦況が逆転し、井伊の復興も進んだ天正二年、直親の十三回忌が行われる。


龍潭寺。信玄が死に武田と徳川の状況が変わったことで、井伊がどちらの立場を取ればいいかを考えあぐねる南渓と昊天(小松 和重)、と傑山。
そこに直之が近藤が嫡男の応援のために井伊を経ったことを伝えにくると、直虎が戻ってきたのだった。

信玄の死後、勢いを得た徳川軍は遠江西部より武田を追い出し、井伊谷はふたたび徳川領となった。そして天正二年(1574年)。

南渓和尚は松下からの文を手にしていた。

龍潭寺・松岳院で祐椿尼(財前直見)らと談笑する直虎の元に南渓和尚がやって来た。直親(三浦春馬)の十三回忌を行おうと考えて、松下にも文を出したところ、六左衛門(田中美央)、亥之助、しの(貫地谷しほり)もなつ(山口紗弥加)も、そして虎松(寺田心)も来ることになった、というのである。

直虎は幼き頃の虎松の姿を思い浮かべた。もうあれからずいぶん経っている。ずいぶん大きくなったに違いない、と祐椿尼も楽しそうに言った。

そして、十三回忌のために松下から一行がやってきた。

「面を上げよ」と南渓和尚が言うとそこには大きく育った虎松(菅田将暉)の姿があった。
にっこり笑った虎松の笑顔は直親のそれにそっくりだった。

「虎松か?」と直虎が聞くと
「はい。松下の虎松にございます」という虎松を見つめる直虎。
「どうしたのですか?おとわさま」と虎松は言った。

(第38回終わり。つづく)


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さるぼぼ母の感想。


タイトルのせいで、てっきり直虎が堺に行くのだと思っていましたが、そうなってはだめってことですね。井伊直虎ですから。当たり前です。

龍雲丸との幸せな日々もつかの間、二人の行く道に別れが訪れます。自由気ままに夢を追い続ける龍雲丸と、井伊の民を守り、日々安堵して暮らせる土地を再興したい直虎との間には大きな隔たりがあったのでした。しかし、夫婦らしからぬ二人の関係でしたが、実際に直虎がそういった内縁の夫のようなものがいたのでしょうか。

まあ、実際あまりに隔たりのある二人でなんとなく違和感があったので、ロマンスを感じなかったのは、視聴者も同じ。同じロマンスだったら政次としてほしかった、というのが本音なのでしょう。政次復活の噂もなぜかちらほらあるらしく、乳母のたけが姪のうめとなって蘇ったように、政次を復活させるという案もあるようで、まあ、そうなったらちょっとあまりに都合良くてちょっと物語としては面白さが半減してしまうかもしれませんね。

残念だったのは、龍雲丸を演じた柳楽優弥さんの演技なのか、魅力があまり発揮されなかったこと。龍雲丸という掴みどころのないキャラクターがむずかしいのかもしれませんが、二人のラブシーンはなぜかぐっと来ず、さらりと風景として流れて行ってしまったように思います。

それにしてもやはり松平健さん演じる信玄。その台詞回しが大げさなのにあまりに決まっていて、本当に感心してしまいます。やはりキャリアのある舞台俳優さんは違いますね。その化物のような健さんと浅丘ルリ子さんの寿桂尼の霊となっての復活、ものすごい迫力(笑)で今回の見どころのひとつはそこだったかもしれません。

そして、とうとう登場する成長した虎松を演じる菅田将暉さん。今回は挨拶程度でしたが、予告シーンを見てその表情の豊かさは期待させますね。大河ドラマ初出演ということですが、これでひとまず活気が戻ってくるのかなあ、とちょっとワクワクしているところです。