『おんな城主直虎』第42回「長篠に立てる柵」のあらすじと感想

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さるぼぼ母です。

『おんな城主直虎』第42回「長篠に立てる柵」のあらすじと感想をご紹介します。

*詳細なネタバレが含まれますのでご注意ください


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材木の調達の企てを直虎に阻止され、日ノ本一の留守居を言い遣った万千代。


戦に材木が必要なことを知った虎松こと万千代(菅田将暉)は、井伊から材木を調達すると家康に宣言し、手柄を立てることで戦に参加しようとした。

しかし、万千代の我がものぶりを心配し、その企てを良しとしない直虎(柴崎コウ)は、万千代の企てを阻止した。その結果、万千代は、家康と共に戦に出ることはできず、長篠の戦いでは城で留守を守る事になった。

井伊谷 龍潭寺。
「初陣の機会であったのに」と南渓和尚(小林薫)はブツブツと呟いていた。
一方、直虎は皆が無事に戻りますよう井戸に向かって祈っていた。

「虎松は拗ねておるやもしれんぞ。あいつなりに考えておったものを」と和尚は直虎に言った。
「このくらいの事で拗ねては、先は知れています」と直虎は言ったが、
「いくら邪魔だてしても、あいつが戦に出る日は遠くはないぞ」と和尚は笑った。

浜松城。同じく留守を守る家臣から酒の席に誘われたノブ(六角精児)はすっかりその気になり付いていったが、万千代はその間、より多くの草履を入れられるよう草履棚を作り直すと宣言した。日の本一の留守居を言いつかったのだから、丸太で失われたものを、居留守で取り戻す、と万千代は叫んだ。

設楽原の戦いで信長は武田軍に対し、鉄砲を使う策を巡らしていた。


徳川家康(阿部サダヲ)一行は長篠城の下の設楽原に布陣した。織田信長(市川海老蔵)の命により、あるものが作り始められていた。
しかし、大久保忠世(渡辺哲)はそれに対する怒りを隠しきれなかった。
「あまりにも無礼じゃないか。織田はあくまでも我らの援軍。その援軍が我らの戦を仕切るなど」
織田の使いとなった石川数正(中村織央)に対して詰め寄る大久保だったが、どのような戦略なのかを信長は教えてくれず、家康が到着してからの一点張りだと石川は語った。

「織田殿はすでに参っておるのか?」という酒井忠次(みのすけ)に対して、石川は家康の嫡男である信康(平埜生成)が対応していると告げた。

信康は織田信長と相対していた。信康の前には茶碗が置かれていた。
「徳川殿はあまりおやりにならぬが、そなたは嫌いでないと聞いている」
そう、信長は言いながらグラスから葡萄酒を飲み干した。
しかし、信康はその茶碗を押し戻して言った。
「いただくわけにはいきません。この茶碗に値する働きを、父上のためにやってはおりません」
それを聞いた信長は言った。
「褒美ではない。親子としてじゃ」
「親子は親子にございます。これは、しかるべき功を立てたものに」
と信康は言い、信長は言った。
「徳川は安泰だな。では行くか、婿殿」

家康の到着を聞いた信長は家康と相対した。
「武田は宿敵であり、何としてでも食い止めねばなるまい」そう言って、信長は家臣の佐久間信盛に戦の策を発表させた。
「此度の戦は主に鉄砲を用います」と佐久間。
それを聞いて顔色を変える家康。
「徳川が未だ武田に勝てぬのは、そなたがいつまでも武田と同じやり方で戦おうとするからだ。ならば向こうもこちらの望む戦場に引きずり込んでしまえば良いと思うが。違うか?」と信長は持っていた種子島で発砲した。

信長が退出したあと、家康たちは信長の策に感心していたが、大久保はまだ信長が家康に指示したことに腹を立てていた。
「今何よりも大事なのは、長篠を武田から救うこと。此度はおとなしくしたがって、いつか我らが織田に同じ事をしてやろうぞ。それでどうじゃ」と本多忠信(高嶋政宏)は大久保をなだめた。

留守居の最中、小姓の小五郎に武器庫の手入れを命じられる万千代と万福。


浜松城の万千代は新しい草履棚を完成させていた。なかなかの出来栄えだった。そこに小姓の小五郎が万千代と万福に頼みたいことがあると言った。
二人が案内されたのは武器庫だった。
「おぬしら槍の手入れなどできるか?」と小姓は言った。
「できぬ武家などおらぬと思いますが」と万千代。
小五郎は笑って、井伊というのは戦を避けて逃げ回っておったと聞いておったので、槍など使ったことがないのではないかと思って、と小馬鹿にして言った。
憤慨した万千代は、それはここ20年ほどのこと、井伊は古くは武門の井伊と言われたと言うと、小姓は自分たちには他の役目があるので武器庫の武器の手入れをしてほしいと言った。

小姓たちが武器庫を出ていくと万千代は言った。
「よし。やろう。あのような雑魚ども殺すまでもない。小姓になればあっという間にごぼう抜きにして顎で使ってやるわ。これをすべて完璧に直せば、それなりの働きとなろう。押し付けたことを後悔させてやる」

そう言って、二人は武器の手入れと修理を始めた。ちょっとでも錆があることも許さなかった。
「日の本一の留守居として、完璧にやってやる」

一方、設楽原では、戦場のしつらえが着々とされていた。
「かように大胆に普請をして、武田に見つからんのですかね」と奥山六左衛門(田中未来)は言った。それを聞いた中野直之(矢本悠馬)
「武田側からは山が目隠しになって全ては見えておらぬはずじゃ。兵の数も何を作っておるかも。ここはよい場所だ。ぬかるみも武田の騎馬武者には難儀。攻め込むか攻め込まぬかおおいに悩むだろうな」と言った。

その時、丸太が200本ほど足りないという声が聞こえてきた。
それを聞いて、直之は即座に木の切り出しを六左衛門と共に申し出た。それを聞いた六左衛門は慌てたが、直之は慌てず対応することになった。

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信長の命による普請が完成し、織田と徳川は長篠の戦いで武田を圧制した。


石川数正は家康に大久保を怒らせたことを詫びたが、家康は信長にあれほどの助けを得られたことは礼を言うことはあっても謝られることはない、と石川に言った。岡崎には信長の娘である徳姫もいて、気遣いをせねばならないことが山のようにあり、石川がよくやってくれていると家康はねぎらいの言葉をかけた。

その時、嫡男信康がやってきて家康に「父上」と声をかけると、家康は息子に「まずやるか?」と言って二人は碁を打ち始めた。
茶碗を信長が信康にやろうとしたことについて話が及ぶと、無礼にならぬように断ったことを信康は伝えた。
「織田の姑殿としてはもっとそなたと親しくなりたいのだろうな」と家康が言うと、信康は言った。
「それはむずかしゅうございます。あの方は常なる人ではありません。私は人の子にございますゆえ」
それを聞いた家康は笑った。

信長の命による大規模な普請がいよいよ完成した。それを受け、酒井忠次率いる別働隊が長篠城を取り囲む武田軍を闇夜に背後から奇襲した。
武田勝頼(奥野瑛太)に向かって山県昌景(山本龍二)は言った。
「殿。これは罠にございます。長篠落城は間近。決してのせられてはなりませぬ」

しかし、若い勝頼は重臣に耳を貸すことなく、織田・徳川の待ち受ける設楽原に突撃した。そこに待っていたのは、大規模に陣を固めた織田・徳川軍であり、鉄砲隊だった。騎馬隊はまたたく間に鉄砲にやられ、山県昌景の首も打ち取られた。信長の立てた策は絶大な戦果を上げ、長篠は織田・徳川軍の大勝利に終わった。

勝利に酔いしれる徳川陣営の中にそれを喜ぶ六左衛門と直之が居た。ふと、彼らを呼ぶものがいて、信長が呼んでいるという。六左衛門は震え上がった。
信長の前に出る二人は、普通の人とは思えない信長の一挙一動を見つめていた。そして信長の鋭い目が二人をなめるように見つめていた。

小五郎は嘘をつき、万千代たちが手入れした武器を自分がやったと手柄を横取りする。


浜松城の武器庫。

「この1ヶ月、己の手元ばかり見ているような気がします」と万福。万千代は言った。
「夢を見たのじゃ。俺たちの働きを見て殿が言うのじゃ。『さすが八介。井のものよ、と』そしてあの小姓どもはお叱りを受け、俺たちの元で性根を入れ替えるように言い渡され、俺の足元に這いつくばって許しを乞うのじゃ。見てろ。もうじき左様な日が来る!」
その時、家臣のものが武器庫にやってきて言った。
「できてる分でよいから、急ぎ武具をまとめよ」
何かあったのかと万福が尋ねると、長篠の大勝利に乗じて、そのまま遠江の武田方の城に攻め込むため武具をまとめろ、ということだっだ。
それを聞いた万千代は喜んだ。

二人が兵糧を運んでくると、自分たちが手入れして直した武器をあの小姓小五郎が自分がやったものとして褒められているのに出くわした。人の手柄を横取りしたのである。それを見た万千代は自分も連れていってほしい、これらの武具を直したのは自分だと申し出たが、小五郎は二人が手伝っただけ、と嘘を言い、おまけにこういった。
「己の手柄にしたいのは分かるが偽りは良くないぞ。今川の、しかも潰れた家の子。何から何まで自分でやったと偽り、目に止まりたいのは分かるが、その名で奉公できるのは殿の情けがあってこそ。それだけでも有り難いと思ったほうが良いのではないか」

万千代は拳を握りしめた。それを見たノブは立場が悪くなるだけだと万千代を止めた。万千代はノブの顔を力いっぱい殴った。

ノブに潰れた家の子であるというのを強みにしろと言われる万千代。


顔にアザを作ったノブに万千代は謝った。
「お気持ちはわかります。誰よりも真面目にやっておりましからな。地味な役目を文句一つ言わず。えろうございます」とノブが言うと
「さような美しい話ではない。俺には何の後ろ盾もないし。ならば人の倍やらねば、と思うておるだけで。その足元を見透かされ、掬われたというだけじゃ」
と万千代は言った。

それを聞いたノブはこう言った。

「向こうが徳川での権勢を誇る家の子を強みとするのであれば、こちらは今川の、しかも潰れた家の子というのを強みとしてはいかがですか?あれは潰れた家の子にしかできぬ。さすがは潰れた家の子。あっぱれ、とそう言わせるのです」

「面白いのぉ、ノブは」と万福。

「そんなものが強みになるわけないじゃないか。ではノブはさすがは裏切り者と言わせぬ働きをするというのか?」と万千代はノブの過去をえぐるような発言をした。

「もちろんそのつもりにございます。裏切り者。恥知らず。だからこそできる働きをいずれお目にかけるつもり。ま、つもりに過ぎませんが」そういって笑うノブ。

「そんなことが?」と万千代が言うと万福は言った。

「でも井伊の殿がすでにやられていることではありませんか。潰れた家を利用するというのは。直久が言っておったではないですか。家が潰れたことを逆手に取り、井伊を治めておる、と」
そしてノブも言った。

「今すぐには無理かもしれませんが、いつか必ず時が来ます。殿がこんなはみ出しもの私どもを迎え入れたのには意味があります。殿を信じ、その時が来るのを待ち、前に出るのです。あのお方は頼りなく見えますが、信じていいお方ですよ」
「殿を信じる?」万千代の中で家康という人物が大きくなり始めた。

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足りない木材を調達したことで、直之と六左衛門は信長から高価な茶碗を褒美としてさずかる


井伊谷。高瀬(朝倉あき)が直虎のところにやってきて、長篠の戦いが大勝したことを伝えた。誰も亡くなったものがいないことを直虎も喜んだ。近藤が館にすぐに来るように言ってるらしかった。

城に行ってみると、美しい茶碗があった。信長が直之と六左衛門の働きに応じて、授けてくれたものだという。それを近藤は寺に寄進してくれるというので、喜んだ直虎が茶碗を撫で回していると、皆が慌てて言った。

「先ほどから雑に扱われておるが、それは城ひとつにも値する茶碗」という近藤の言葉に直虎が驚いて手から茶碗を滑らすと直之が慌ててそれを救った。

あまりに高価なものであり、家康の頭越しに織田信長から直接褒美を貰うことを恐れた近藤は寺に寄進することにしたのだった。
直虎は長篠に行くことにした。信長はもう居ないかもしれない、という和尚の言葉に「死者がおりますゆえ」と直虎は言った。
そして、傑山(市川隼人)と共に長篠の戦地に立った。

荒れ果てた景色を見て直虎と傑山は経を唱えた。直虎の唄うような経は長篠の戦地に響き渡った。

万千代は家康の寝所に呼ばれるが、色小姓として呼ばれたと勘違いする。


しばらくして、各地を転戦した家康たちが浜松城に戻ってきた。城は勝利の宴に酔いしれていた。家康は早く休むと部屋に戻っていた。
玄関にいる万千代の元に榊原康政(尾美としのり)がやって来て、家康が寝所で待っているから着替えていくようにと命じた。
それを聞いた万千代はてっきり自分が家康の色小姓として選ばれたのだと思った。家康がそちらは好まぬと聞いていたのだがと不審がったが、ノブは万千代の顔がかわいいので趣味が変わってもおかしくない、と言った。

家康の部屋に行く前に万千代は部屋に座っていた。万福の心配をよそに万千代は言った。
「名だたる武将たちも主君とそのような契を結んでの出世だと聞く。むしろ、これこそが酒井の一門を追い落とす好機。迷うことなどなかろう」

身だしなみを整えて家康の部屋を訪ねると、家康は碁盤を前にしていた。布団が目に入り、躊躇する万千代に家康は近くに寄れ、と命じた。

なんだか様子のおかしい万千代に気がついた家康は、万千代が勘違いしていることを知って大笑いした。家康が万千代を呼んだのは別の理由だった。


家康は二人が武器を手入れしたことに気がついていた。非凡なる凡である家康についてあらためて理解しはじめる万千代


「あの槍弓を整えたのはそなたと万福か。いつもより随分細かく手入れされておったゆえ。弓や槍は磨き込まれ、矢は寸分の狂いもなくまっすぐに。新しくあつらえたのか、という者も居た。小五郎がやったというとったが、以前はそうではなかったゆえ、新しく入ったものがやったのかと思ってな。草履棚も様変わりしておったし」と家康は言った。

それを聞いて家康の顔を見つめる万千代。家康は続けた。

「そなたのことじゃ。日ノ本一の留守居と言われたら、日ノ本一の留守居を本気でやろうと思ったのではないか?」
「誰も気づいてなどくださらぬと....」と言いながらうつむく万千代。胸がいっぱいになり言った。「取り乱し失礼致しました」

それを見てにやりとしながら家康は言った。

「いっそ、まこと色小姓としてしまう手もあるかな。ここはひとつ、まことそういうことにしてしまわぬか」

そういって引きつる万千代の傍に寄って囁いた。

瀬戸村。大雨が降っていた。甚兵衛(山本學)の家に得たいの知れぬ何者かが石を投げ込んだ。

(第42話。終わり。つづく)

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さるぼぼ母の感想。


さて、今回、長篠の戦いということで、もしかしてはじめての大掛かりな戦シーンだったのではないでしょうか。しかも鉄砲隊によって騎馬隊が撃ち抜かれるというなかなかダイナミックなシーンが描かれました。

そして、お待ちかね(?)の信長の登場でした。今までチラチラとは出演していましたが、大したセリフもなくあまり長いこと出ている印象ではなかったのですが、今回は信長の常軌を逸した雰囲気を演じていました。まさに赤い血(ワイン)を飲む鬼のような感じを意図していたのでしょう。

しかし、私としてはちょっと期待はずれかも。海老蔵さんの演技なのでしょうが、不思議な台詞回しで軽めと言いますか。やはり歌舞伎とは違う感じで演じたいのでしょうが、その人物像が炙り出る感じにはまだなってないようです。

そして特筆すべきはやはり六角さん。存在感と演技がいいです。やっぱり舞台の役者さんは上手だなあ。

比べて万千代演じる菅田将暉君の演技は堂に入ったものになってきたようです。まあ、あれが好きかは好みが分かれるところでしょう。政次が憎らしい人物を演じたにも拘らず、愛されて止まなかったことを考えると、どのように大人として魅力を発揮していくのでしょうか。今はまったく子供。ガキ、って感じですものね。

そして家康の非凡さがどんどん浮き彫りになってきます。誰も気が付かなかった武器の手入れを誰がやったかということに真っ先に気づくということ。これを見て、仕事に通じるところもあるなあ、と毎度思うのでした。


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