さるぼぼ母です。
『おんな城主直虎』第48回「信長、浜松来たいってよ」のあらすじと感想をご紹介します。
*詳細なネタバレが含まれますのでご注意ください
武田攻めで駿河を手にした徳川は歓喜に酔いしれていたが、信長からの知らせがやってくる
織田信長(市川海老蔵)に従い、無実の罪で嫡男徳川信康(平埜生成)と妻瀬名(菜々緒)を奪われ、武田攻めでも誰一人殺さないで降伏させるという計略を信長に潰された徳川家康(阿部サダヲ)は、それでも耐えに耐え、天正十年、武田の滅亡とともに、念願の駿河を手に入れたのだった。
勝利の宴に酔う徳川の家臣たちの中にいた井伊万千代(菅田将暉)は酔った勢いで、織田信長が皆殺しにするというものたちを救い出し、丸抱えにするだけでなく、織田の一族の首を取って晒すと叫ぶのだった。酔いが過ぎると万千代を制する家康の言葉も聞かず、万千代は言った。
「殿、俺と天下を取りましょう。駿河は素晴らしい。でも駿河などで満足してはいけない」
その時、織田の家臣が火急の用事として現れた。また言いがかりでも?とどよめく家臣たち。
織田の使いとしてやってきた長谷川修一に榊原康政(尾美としのり)は、駿河を取ったことで家康もとりわけ喜び、前後不覚に酔ってるため会うことができないと伝えた。長谷川は信長からの文を差し出した。その文には、織田は甲斐におり、安土城に戻る途中に富士を拝みたい、ついでに遠江、三河に来たいと書いてあった。それを読んだ家康は織田をいささかの粗相もせずにもてなさなければいけない、と家臣たちに言った。
富士を見に浜松にやってくるという信長をもてなそうと必死になる徳川
井伊谷。井伊直虎(柴崎コウ)は奥山六左衛門(田中美央)から届いた手紙を読んでいた。甲斐に来ているという六左衛門は、信長が通る道を整備しているという。どんな言いがかりをつけられるか心配なのでしょうが、と呆れる直虎。そして、万千代も織田へのもてなしの準備に必死だった。
今川氏真(尾上松也)も織田が浜松にやってくるという知らせを受け取っていた。天竜川にでも飲まれて死んでしまえばいい、と悪態をつく家臣に、織田は今や天を握ってるから、そんな事を言わずに取り入らないと、と言うのだった。
そしていよいよ、信長が浜松にやってくる日がやってきた。信長の前にひれ伏し、その一挙一動に気を遣う家康と家臣たち。と、そこに氏真が祝いにやってきたという。氏真を胡散臭がる徳川の家臣たちに、氏真を通すように伝える信長だった。
やってきた氏真は織田信長に深々と頭を下げ、武田との勝利について祝いの言葉を述べた。信長が好んでいる相撲を座興に用意したという。現れた相撲取りの中にはなぜか中野直之(矢本悠馬)もいた。
相撲を見物しながら、桶狭間を思い出すと家康に懐かしそうに語る信長。家康が共に戦ってなければどうなっていたかわからない、と信長はいい、道中のもてなしについていたく感激したと礼を言った。兵糧攻めで使わなかった米八千兵までを家康の家臣に与えるという信長だった。
その夜、氏真は浜松城の中で何者かに呼ばれて話をしようとしていた。
井伊谷に捨て置かれた子供は百姓ではなく、武家の家のものらしかった
井伊谷。直虎のものとに昊天(小松和重)が子供を抱きかかえてやってきた。井戸端に居たというその男の子は、名前を聞いても何も答えなかった。梅(梅沢昌代)に子供の体を洗わせ、食事をやることにしたが、村に子供を探しているものがいないか聞いても誰も知るものはいなかった。
寺に戻った直虎に梅は言った。
「これは百姓の子ではないようです。汚れた身なりに騙されましたが、肌の色艶もよく、手も荒れておらず、食事の作法も見事なものです。武家の子、しかも相当な」
疲れて寝入った子供は寝言で「父上」と言っていた。南渓和尚(小林薫)に相談しながら、話せるのに話をしないのはおかしい。織田が通った後にこのような子供が捨ておかれたことをそのまま鵜呑みにしてよいのか、と訝る直虎であった。子供の口を無理やり割るのもはばかられるが、身分のある子どものようなので、おそらく誰か見守るものがいるのではないか、と直虎。
「では、そのものを炙り出してみよう」と和尚。
さっそく昊天が村に行き、子供が居なくなったことを触れ回ると、おかしな言動をするものがいた。そのものの様子を陰から見ていた直虎と傑山(市原隼人)だったが、直虎は傑山にその者をつけて見張るように指図した。
もてなしのお返しに家臣を連れて安土城にまねくという信長の言葉を信じることができない家康たち
信長が帰った後、何事もなかったことに安堵した浜松は再びお祝いムードだった。しかし、万千代は今回のもてなしの費用が屋敷一つ分かかったと声を上げた。
その時、また織田の家臣である長谷川が来たという。長谷川がまた信長からの文を差し出すと、そこには先の家康のもてなしに対し、信長ももてなしで返したいと書いてある。家康が安土城にくれば、安土・京・堺を案内したいということで、榊原や酒井、本多なども皆招待するから来てほしいというのであった。
それを聞いてなぜか釈然としないものがいた。家康と榊原、そして万千代だった。家康の部屋に入ると万千代は切り出した。
「やはり怪しいとお思いでしょうか」
「皆というのはな。城ががら空きになろうし。しかもお招きということになれば、戦仕度はできない」と家康。
「罠ということですか。殿と皆様をおびき寄せ、丸腰になったところを狙うという」と万千代が尋ねると、
「無論、本当にお招きということもある。しかし、武田がいなくなった今、織田にとって我らと組む価値が下がったことは間違いない」と榊原。
「しかし、織田は毛利攻めの最中だろう?腹に一物あるとはいえ背後を攻めるだろうか?」と家康が言うと、徳川は織田、穴山、北条などにぐるりと囲まれており、毛利攻めの最中であろうとも可能と考えたのではないか、と榊原は語った。
「しかし、断ろうにも断れないのではないでしょうか」と万千代は二人に言った。
今川氏真が家康に語ったこととは?そして、なぜ子供を井伊に連れてきたのか?
その時、万福(井伊脇海)が今川氏真がやってきたことを告げた。家康は氏真に会うことにした。氏真は信長からの招きの一件を知っていた。そしてこう言った。
「わしは招きに応じたほうがいいと思うぞ」
井伊谷。傑山があやしい男を追って捕まえた相手とは、なんと今川氏真だった。
直虎は氏真に言った。
「太守さま。井伊谷にお預けになった子の事についてお聞かせ願えますか」
直虎は氏真と向かい合っていた。よくわかったな、という氏真。見張りのものを辿っていったら辿り着いたという直虎。
「また、そなたに会うとは思ってみなかったな」と氏真。
「明日をも知れぬ世でこうして相見えることになったとは、まことに神仏のお導かと存じます」と直虎。
井伊にとっては悪い話ではないから、黙って預かっていてくれないか、と氏真が言うと、直虎は口を割らせることも、どこかに引き渡すこともできる、と氏真を脅した。
「あれは、織田の家臣、明智の子供じゃ」と氏真はいきさつを話し始めた。
明智光秀の謀反の計画とは?そして信長の家康への罠を逆に利用した明智の計画とは?
京にいて遊んでいた頃、一人の男に出会った。それが明智だった。学もあり、歌もうまく、交流が生まれた。このたびも浜松に来るという手紙をもらったので、浜松に駆けつけたが、その際に明智はこのように切り出した。
「太守さま。共に信長を殺しましょうぞ」
これは、信長を殺らねば家康が殺されるという話だった。明智によると、今回の見物は領内の視察であり、家康を京に誘い出すための口実。先日のもてなしに感激した体で織田領に招き入れ、主だった武将と家康を皆殺しにするというのだった。その謀略を任されたのが明智であり、それを逆に信長に用いることを思いついた、と明智は氏真に語った。信長を殺したい輩は相当いる、これを逃せば、あの冷酷な男が天下を取ってしまうことを危惧したというのである。明智は氏真に家康におとりとなり、京に出てくるよう橋渡しをしてほしいと頼んできたのであった。
「こんな話を信じろと言われても」という氏真に対し、明智は息子の自然を人質に差し出すと言ったのだった。それが、あの子供だったのである。
直虎はそれを聞いて、井伊が力をどうして貸さねばならない、と氏真に言ったが、桶狭間で失った井伊の者たちの敵、瀬名の敵を直虎が取りたくないのか?と氏真は詰め寄った。
「わしは討ちたいぞ。そうか、そなたからすればわしも敵か」と氏真。
直虎は自分の敵は誰かと考えないようにしていると言ったが、家康はどう考えているのかと尋ねる直虎。その問いに氏真は、言った。
「このまま行けば、徳川は頭を押さえつけられ、消されることになるだろう。そうなる前に家康も風向きを変えたいと思ってるのではないか。逆風になったら最後、仲間は裏切り、下に付く国衆は寝返り、そなたもよう知ってると思うがな」
直虎は家康を説得するために浜松城に赴く。戦のない世の中を作る要となってもらうために。
井伊に戻ろうとした直虎だったが、途中思い直して浜松に引き返した。浜松では家康がふさぎ込んでいた。
そこにノブ(六角精児)が直虎の家康への文を持って現れた。開いてみるとそこにはこう書いてあった。
「自然のことにて」
家康に万千代がそれを見せると家康は顔色を変えた。
「ご存知なのか?」と尋ねる家康に
「先ほど、今川殿より伺いましてございます」と直虎。
「井伊に人質を預けたというのは?」
「まことにございます。明智はまことにやる気かと。しかしながら、私はこの件、織田に申し出ようと。そうすれば明智は成敗され、徳川様はとりあえずは無傷。より覚えも目出度くなるでしょう」と直虎は言った。
織田はいつかは徳川を潰そうと思っている、と直虎の言葉に戸惑う家康に、織田を討ち取ってもその先に織田の臣下が台頭し、乱世はいつまでたっても終わらないと直虎は語った。
その言葉に家康は苛立ちを覚えて声を荒げたが、直虎は言った。
「私は徳川様に織田に取って代わってほしいと望んでおります。私は徳川様にこの日の本の扇の要となっていただきたいと心密かに望んでおります。己が頭となり、世を動かしたいと思ったことはありませんか?」
「わしはこの世が嫌いじゃ。戦や謀ばかりで、昨日の味方が今日の敵になり、一年かけて育てた稲が焼かれるような。誰が望んでこのようになったのだ。変えられるものなら変えたいに決まってる。戦という手立てがこの世にあるかぎり、武勇が自慢の者たちはそこに訴える。ならば、予め戦を起こせない仕組みを敷いてしまえばよい。そんなことを考えたりするが、できると思うことはない」家康は言った。
「なれどやってみなければわかりませぬ。やっていただけないでしょうか。私はそんな世がみたいです。子は預かっておきます。ささやかですが、お力になれるかと」と直虎はその場を去っていった。
直虎は自然を預かることを定めと考え、家康も信長を倒すために安土城に向かっていた。
井伊谷に戻った直虎は井戸の辺に立つ自然に声をかけた。全て聞いたので心配する必要はない。大人たちがなんと言おうと自分は味方だ、と声をかけると自然は声を上げて泣いた。
寺に行って自然の身の上を話すと昊天は明智の子供だという事に驚いた。直親が井伊を追われた際に寺に匿ってもらって生き延びたように、今度はあの子を守る番ではないか、と直虎は語った。そして、皆、家康の心の行方が気になっていた。
家康は考えていた。若い頃の瀬名の叱咤激励が蘇ってきた。出る時は出ないといけない。
「万千代、皆をあつめよ」と家康は言った。
家康が皆の前で語ろうとすると、重臣たちが次々に声を上げた。
酒井も石川も、本多もだった。
「尋ねるまでもありませんでしたな」と榊原は家康に言い、こうして家康と彼らは安土城に旅立った。
そして、井伊谷の直虎の元には、万千代、六左衛門、直之、常慶(和田正人)がやってきた。万千代は言った。
「殿。お願いがございます。徳川を日ノ本一の家にするために」
(第48回。終わり。つづく)
さるぼぼ母の感想。
さて、信長の家康への締め付けが激しくなってきました。妻と息子を奪っただけでなく、さらにはその生命までも奪おうという男。権力者が勢力を持ち始めたものを潰そうとするのは世の常ですが、あくまでも抜け目のない信長のやり口には驚きますね。
そして、今回の展開ですが、実際に史実では明智が今川氏真や、家康に助けを求めたのか、実際に自分の子供である自然(実在のようです)を井伊に人質として預けたような事実はないようですから、あくまでもこれはドラマの創作のようですね。
まあ、明智が謀反を企んでいたとしても、今川氏真に応援を頼んで織田を倒そうと持ちかけるというのは、ちょっと考えにくい感じですね。とはいえ、ここはドラマで何度も取り上げられるような史実の大舞台。調べてみると、
「本能寺の変とは、そもそも信長が家康を本能寺で討ち取る事件だった」
ということのようです。
この節を唱えているのは、明智光秀の子孫とされる明智憲三郎氏で
「本能寺の変 431年目の真実」
という書籍の中でそれを展開しているようです。
ということでこのドラマはこの新説を採用しているわけですね。
ということで、いよいよ次回は「本能寺の変」でしょうか。
さて、大詰めになってきました。年末ですしね。
少し早足に歴史が流れていくような感じになってきました。
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