さるぼぼ母です。
『西郷どん(せごどん)』第1回「薩摩のやっせんぼ」 のあらすじと感想をご紹介します。
*詳細なネタバレが含まれますのでご注意ください
西郷いとが西郷どんの銅像を見て呟いたこととは。
上野の西郷さんの銅像が建てられたのが、今からおおよそ120年前。西郷隆盛が西南の役で戦死して21年ほどの事。式典で銅像にかけられた布が西郷の姪によって落とされると、式典の参加者から西郷に対する賞賛の声が上がった。
しかし、西郷の最後の妻であった糸(黒木華)はその銅像を見て声を上げた。
「ちごぉ。ちご。ちご。うちの旦那さんはこげな人じゃありもはん」
西郷隆盛の3人目の妻となった糸がなぜそんな事を言ったのかはわからなかったが、確かなのは、この男、女にも男にもめっぽうモテたということ。
そして、もうひとつ確かなのは、この男がいなかったら新しい日本は生まれなかったということ。
彼はこう呼ばれていた。
「西郷どん(せごどん)」と。
小吉が菓子を盗みに忍び込んだ島津藩の別邸で出会った天狗とは。
今から180年前ほどのこと、日本がまだ鎖国の時代、薩摩の国。
薩摩では年長者が年少者に対して文武に亘って教育する「郷中教育」というものが行われていました。郷中の教育は男子に限っており、西郷小吉(のちの西郷隆盛。渡邉蒼)も強く立派な侍になるべく日々文武に励んでいた。
男子たちはことごとく郷中ごとに対立し、小吉が住んでいる下鍛冶屋町は他の郷の子どもたちと喧嘩ばかりしていた。ある日、対立していた相手から、薩摩藩主の別邸である磯の御殿に菓子が山のようにあるという話を聞く。
お菓子などを食べたことのない子どもたちは磯の御殿に潜り込んで菓子を盗む競争をすることになる。磯の御殿には天狗がいる、という噂があったが、小吉はよい肝だめしになる、と仲間を励ました。
磯の別邸のある浜辺に小舟でたどり着くと、浜には見慣れない子供がいた。見慣れないその子は「いと(渡邉このみ)」と名乗った。素早いいとの後に続いて別邸の庭に忍び込んだ小吉たちだったが、一人が池に落ちて別邸にいた島津藩の家臣に見つかってしまう。
大急ぎで逃げる子どもたち。やっとのことで辿り着いた林の中では、ある男が大砲のテストを行っていた。それを知らずに近寄った小吉たちの傍に大砲が落ちてきた。
大砲は不発に終わり、砲身は壊れてしまった。
「情けない。この程度の火薬で壊れてしまうとは。これでは異国には太刀打ちできん」
男はそういった後、小吉たちに気が付き近寄ってきた。
度肝を抜かれた小吉たちが見てみると、丸い眼鏡のようなものをかけたマントを来た男がすごい形相で近づいてきた。驚いた小吉たちは一目散に逃げ出そうとするが、一番年下の子が木に引っかかって取り残されてしまう。ふたたび逃げようとした小吉が男を見ると
「天狗!?....でも天狗にしては鼻が」と小吉。
「鼻の低い天狗を見たのははじめてか? ここに何をしに来た」
そう男に言われた小吉はここに来れば甘いお菓子にありつけると聞いたと伝えると、菓子ごときに命をかけるとは、と男。
「覚悟なら、薩摩隼人はいつでん死ぬ覚悟はできちょ」と小吉が言うと、男は笑い始めた。
「薩摩隼人が聞いて呆れる。お前は一番幼い仲間を見捨てて逃げた。弱い者の身になれんものは弱いものになる。そういうやつのことを薩摩ではやっせんぼ、というんだろ?」
小吉は男に何をしていたのか尋ねたが、男は異国の天狗をやっつける戦略を立てていたのだという。そして、小吉たちにここで見たことを誰にも話さないよう、話せば命はない、と言い、口止め料と笑いながら、紙に包まれた何かを放り投げた。
天狗の正体は島津藩主嫡男島津斉彬公だった。
小吉たちがその場を後にし、もうここまで来れば、と小舟の上でその包みを開けてみると、それは、あれほど食べてみたかった菓子(カステラ)だった。夢にまで見たその甘い菓子を頬張りながら喜ぶ子どもたちの中で、紙に書かれたローマ字(Cargoshima)とともに、あの天狗は小吉の心の中に住み着いてしまった。
西郷家。小吉は母の西郷満佐(松坂慶子)や祖母の西郷きみ(水野久美)からも先祖の無敵才のように大きくて立派な侍になるよう期待されていた。父の西郷吉兵衛(風間杜夫)からも弟や妹からも頼りにされていると言われると、小吉は家族だけでなく、弱い者すべてを守れる人間になりたい、と言った。そのためにもっと強い薩摩隼人になり、いつか城に上がり、家族に白い米を腹いっぱい食べさせてやりたいと語った。
一方、磯の御殿では天狗が殿様に呼びつけられていた。時の薩摩藩主島津斉興(鹿賀丈史)に芋焼酎を差し出す天狗こと嫡男島津斉彬(渡辺謙)。江戸詰めしていた斉彬が薩摩に戻ってきていることを島津斉興は心配したが、影武者を置いてきたから心配ないという斉彬。
それを聞いていたのは斉興の側室由羅(小柳ルミ子)であり、斉彬の異母兄弟に当たる島津久光(青木崇高)だったが、斉彬は斉興にイギリスが清を攻めたという話をし、兵器を早急に開発しないといけないと説くが、藩の金を大量に使ったと斉彬を責め、藩主の座を渡さないと宣言する斉興だった。
斉彬の継母である由羅も自らの息子である久光を藩主にするべく、動こうとしていた。
妙円寺詣りに男子に成りすまして参加し、男子になりたいと言った糸の言葉。
妙円寺詣り。関ヶ原の戦いで敵中突破後苦闘の末、帰還を果たした島津義弘公をしのび、藩中の士気を鼓舞し、心身の鍛錬をするため、鹿児島城下の武士たちが妙円寺一番乗りを目指して20キロもの道を競う行事。いと改め伊藤と名乗るあの子供も参加していた。
重い鎧兜に身を固めた少年たちもここから遥か20キロもの道中を妙円寺を目指して競い合うのだった。少年たちは郷中ごとに競い合い、互いを蹴散らして進むことになった。
最終地点で待つ赤山靭負(沢村一樹)は小吉たちに学問を教える島津家の重臣だった。激しい競争を勝ち抜いて一番乗りに妙円寺に辿り着いたのは、あの伊藤というすばしこい子だった。下鍛冶屋町が一番乗りということで赤山は小吉たちに褒美の餅を差し出した。
餅をほうばる小吉たちを見て、伊藤というその子が伊藤ではなく、岩山糸という女子だということに気がつく別の郷の子供。女子の助けを借りて勝ったということで下鍛冶屋町の小吉たちは恥をかくことになる。
「おはんのせいでおいたちは恥をかいた。出て行け」と野次られ、赤山からもなぜ男の格好をしたのか問われると糸は言った。
「男になりたか。なぜ女子は御中に入ったらダメなのですか?私も学問や剣術がしたい」
小吉が糸に声をかけると「女子の気持ちは女子にしかわからん」と小吉を突き飛ばして糸はその場を去った。
そこに島津久光が現れ、今年の一番乗りは誰かと尋ねた。下鍛冶屋町だと赤山が答えたその先を小吉が見てみると、なんとあの時の天狗がいるではないか。小吉は驚いて声を上げた。
「この方はお世継ぎ様である島津斉彬様だぞ」と赤山。
呆気に取られる小吉の傍に斉彬は来て言った。
「子は国の宝だ。お前たちのようなものがいたら国は安泰だ。頼もしく思うぞ」
なぜ女子は男と同じではないのか、女子の格好をして父に叱られる小吉。
家に帰った小吉が父に斉彬にかけられた言葉を伝えると父も家族もたいそう喜んだ。その晩、小吉は斉彬に言われた「やっせんぼ」という言葉、糸が小吉に言った言葉が頭の中で渦巻いて眠れなかった。
次の日、小吉は赤い着物を来て女子の格好をして歩いていた。道の真中を歩いていれば突き飛ばされ、洗濯物も男と女のものは別々に洗うことに気がついた。河原で洗濯を眺める小吉を見つけて慌てて止める父に小吉は言った。
「女子は道の真ん中を歩いていると殴られ、洗濯物も一緒にできん。女子はつまらん。女子は損だ。同じ人間だというのに。おかしか」
それを見ていた糸は言った。
「面白かお方じゃ。小吉さんは」
父と歩く小吉は言った。
「おいはこれからもっともっと精進します。今にきっと赤山先生のように斉彬様の役に立つような身になりたか」
しかし、己の身をわきまえろ、思い上がるな、うちのような身分のものが抜け出すには算盤しかない、志を持つことは立派だが、大それた望みを口に出すな、と父は言った。
「大それた志は口に出しません。胸の中に締まっておきます」小吉は答えた。
それから、小吉は一段と剣術などに精進するようになったのだった。
妙円寺詣りの事を根に持った侍の子に一生刀を持てなくなるほど深い傷を負わされる。
しかし、ある日の事。妙円寺の件を根に持った郷中の子達と喧嘩になる小吉。中の侍の子とやり合いになり、相手の鞘が割れ、むき出しになった刀が小吉の肩に振り下ろされた。小吉は肩に重い傷を負った。
相手の子供を連れた父親が西郷家にやって来た。藩の決まりで抜刀は禁止。目下の者を傷つけたとあっては言語道断。腹を切れ、と息子に命じたその侍に西郷吉兵衛は言った。
「子供の喧嘩だし、喧嘩両成敗ではないですか。抜刀をしたわけではないことですし、そちらのご子息も怪我をしているご様子。謝らねばいけないのは小吉の方だ」
そう言って小吉に頭を下げさせると、相手はそのままその場を去った。小吉に怪我をさせたあの子供はニヤリと笑みを浮かべていた。それを見て悔しくてどうしようもない小吉だった。
小吉の怪我が治るよう、母は必死で祈っていたが、その傷はおもったより深く、小吉は二度と刀を持てない体になってしまう。小吉は一人林の中に行き、木刀を振り上げようとするが、痛みに耐えきれず、木刀を落としてしまう。
二度と刀を持つことができない悔しさと哀しみに声を上げて泣く小吉。その時、馬の嘶きが聞こえる。それは、斉彬が弟の久光と共に狩りをしていたのだった。
斉彬は江戸には戻らず、琉球に行き、戦火に塗れた清に趣き、西洋の強さを見たいという。すべてはこの日本国を守るためだった。
絶望の最中に再び斉彬に出会い、その言葉に一筋の希望を与えられる小吉。
斉彬が微かな物音に気づいて鉄砲を構えると、その先には小吉が居た。
「またおまえか。危ないじゃないか」
「恐れながら斉彬様。私は斉彬様の元でいつか忠義を尽くしたいと思っています。じゃどん、こん右手で二度と刀は持てなくなりもした。おいはもう、生きていてもしょうがない身でございます」と泣き叫ぶ小吉。
「メソメソするな。このやっせんぼ」そう怒鳴った後に斉彬は言った。
「死んではならぬ。侍が重い刀を二本も差して、そっくり返る時代は終わるんだ。これからはか弱きものの声を聞き、民のために尽くせるものが真に強い侍となる。お前はそういう侍になればよい」
「斉彬様。おいは斉彬様にまたお会いしとうございます」
「お前が強い男になっていたらまた会おう。強くなれ」
そう言い残して斉彬はその場を去った。この年、斉彬が薩摩に居たという記録はない。小吉が会ったのは天狗だったのか、影武者だったのかはわからない。
それからしばらく経ったある日の事。赤山が異国の世界地図を出して見せた。その広さに圧倒され、日本のちっぽけさに驚く子どもたち。こんな小さな中で縄張り争いしているのか。
その時、小吉は地図の中に、斉彬からもらった紙の中に書かれたあの文字を見つけた。
「これは何という意味ですか?」
「鹿児島。だけど異国の地図には鹿児島と書かれている。世界はこの鹿児島を見ているんだ」
子どもたちは高台の上に出た。
「こん先、誰が一番先にお城に上がるか競争じゃ」
いつも腹を空かせていた少年たちがいずれ徳川幕府を倒し、日本を動かす中心人物(大山綱良、村田新八、海江田信義、大久保利通、そして西郷隆盛)となっていくとは誰も知る由がなかった。
さるぼぼ母の感想。
さあ、新しい大河ドラマで幕末もの。さらには原作が林真理子という話題作である「西郷どん」が始まりました。林真理子原作ということで、おそらく歴史オタクの方には納得がいかない大河となるでしょうが、一曲も二癖もある林さんの事、おそらく何か型破りな内容になるのではないか、と期待大です。
脚本の中園ミホさんは「花子とアン」で高視聴率を誇った方ですが、それよりも注目なのは「ドクターX」や「ハケンの品格」の脚本とということでむしろ民放で評判になった方だということですね。
特にあまりドラマを観ない私がすきなのは「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」。米倉涼子演じる型破りの外科医大門未知子が誰も行えないほど難易度の高いオペを平然と行ってのける痛快医療ドラマです。一昨年度放映されたキムタク主演の「A LIFE〜愛しき人へ〜」はこの「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」を競合としていたようですが、まあ見事に惨敗。とにかく痛快で、大門未知子の決め台詞「私、失敗しないので。」というのを聞く度にスカーッとしていた人は多いのではないでしょうか。
米倉涼子さんの名演もさることながら、岸部一徳といった脇役の見事な演技が超楽しい作品でした。とりあえず「ドクターX」の解説はさておき、今回も大げさな直虎のオープニングなどに比べて、痛快さを演出したオープニングや音楽については、かなりいい印象ですね。
さらには、こちらもとにかく豪華な配役。主役の西郷どんは鈴木亮平さん。この方の演技の評判はかなり良くて、「花子とアン」の時の鈴木亮平さんはワタシ的には今ひとつですが、主役を辞退したという噂の堤真一さんよりは、もしかしていいかも!?という気がしています。
また、岩山糸役の黒木華さんにもかなり注目ですね。さらには、もうこれは「蒲田行進曲」か?という父役の風間杜夫、大久保利通の父役の平田満、小吉の母の松坂慶子。鹿賀丈史に瑛太、さりげなく塚地武雅(笑)、沢村一樹。そして何より斉彬役に渡辺謙という豪華な顔ぶれでびっくりですね。演技達者な人ばかりなので、演技面であまり愚痴が出ないかもしれません。
一方で、こう眺めてみるとイケメンが少ない!!イケメンお花畑と言われた直虎(大笑)に比べてもしかして少ないかもしれないですね。
中園ミホと林真理子は西郷隆盛を男にも女にもモテたと描くという事で一部批判を受けているようですが、モテるということがどういう事なのかを描こうとしているのかもしれませんね。つまり本当の意味でハンサムとは何?ということなのかもしれません。
そういう意味では、健さんの演じる島津斉彬の超カッコイイ登場も頷けるような気がします。本当に健さんの存在感はすごいですね。海外で有名になってもいまだ大河ドラマに出ているというのは好感度高いです。
子役の小吉を演じた渡邉蒼君もすごく良かったんですけど、もう次回は大人の西郷どんになってしまうんですね。そこはちょっとだけ残念ですが。
どんな展開になるかとっても楽しみになってきました。
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