
さるぼぼ母です。
大河ドラマ「西郷どん」第3回「子どもは国の宝」のあらすじと感想をご紹介します。
*詳細なネタバレが含まれますのでご注意ください
薩摩の窮状を救ってもらいたい一心で吉之助は斉彬に書状を送り続けた。
薩摩藩主、島津斉興(鹿賀丈史)の悪政によって、苦しむ百姓たちを助けたい一心の西郷吉之助(鈴木亮平)は江戸にいる島津斉彬(渡辺謙)に向けて、何通もの意見書を書き送った。
このままでは、日々の糧にも欠け、いくら働いても重い年貢に苦しめられ、挙句の果てに娘を売るものもある。田畑を捨て、逃散するものも多い、とその意見書には書き綴られていた。吉之助は、斉彬が新藩主となることを待ち望んでいた。
当時の薩摩は日本一武士の割合が多かったため、多くは百姓同様貧しい暮らしを送っていた。下級武士の西郷家も貧しい上、11人もの大家族だった。祖父の龍右衛門(大村崑)も咳をして寝込むようになり、三男の信吾も具合が悪くなっていた。
吉之助は西郷家の使用人である熊吉(塚地武雅 )と猪狩りに出かけていた。仕留めた猪を意気揚々と担ぐ二人が家に戻ると、信吾の具合が悪いと母の満佐(松坂慶子)は言った。医者に連れて行こうにも医者に払えるだけの金もない、という。
何とかして金を手に入れようと考える二人は猪を売りに行こうと考えるが、帰宅した父の吉兵衛(風間杜夫)に止められる。吉兵衛は借金することを決意するが、借金するより家を売れば良い、という吉之助とは意見が合わず言い合いになるが、大久保正助(瑛太)に止められるのだった。
大見得を切ったが実際の当てがない吉兵衛が、赤山靭負(沢村一樹)にそのことを話すと赤山は自分が少しは力になろうと言う。しかし、赤山に仕え、台所事情をよく知った吉兵衛はそんな余裕が赤山にないことはよくわかっていた。このままでは、吉之助に嫁をもらうことはできない、と悩む吉兵衛だった。
その頃、島津斉彬は幕府の重鎮である阿部正弘に薩摩の惨状を訴えようとしていた。
江戸城。島津斉彬は、幕府における最大の権力者である老中阿部正弘(藤木直人)に対し、斉興の悪政を暴いた書状を渡していた。阿部は斉彬に言った。
「私は、貴殿が立ち上がるのを待っておった」
その頃、吉兵衛は吉之助を連れ、赤山に紹介してもらった借金先の豪商板垣与三次を訪ねていた。商人の大きな屋敷を前に、武士の威厳を損なうな、と吉之助に言う吉兵衛は、百両を貸してほしいと板垣屋に頼むが、その態度は借金をするものとは思えないほど不遜だった。
当然、板垣屋はそれをきっぱり断ろうしたが、それを吉之助は引き止めた。土間に降りて土下座し、事情を誠心誠意話して頼む吉之助を見て、その真摯な態度に心を打たれて百両を貸してくれることになった。
初めて見るピカピカの百両の小判を見てまるで自分たちがもらったかのように喜ぶ親子。しかし、この後、西郷家は借金を明治維新まで抱えることになり、暮らしは決して楽にはならなかった。二人が家に戻る途中、芋を盗んだとして追われていた子供を助けようとするが、その子供、中村半次郎は家族を置いて逃げた下級武士の息子であり、なかなかの剣の腕の持ち主だった。
さっそくそれで米を買って家族に食べさせる吉兵衛。白い米の飯は何年ぶりか、と喜ぶ家族を見ながら、時々米や芋を送ってくれた熊吉の家族にも米を送ってやろうと、熊吉の実家に二人で出向く吉之助を迎えたのは、熊吉の祖母イシ(佐々木すみ江)だった。持ってきた米をその夜、熊吉の実家で食べて翌朝目覚めた吉之助は、薩摩から逃げようとしている親子に遭遇する。
夜逃げしようとしている下級武士の一家を助けようとする吉之助。
何とその中には、あの半次郎も居た。逃散(走り)ならぬ、脱藩を見逃すことができない、と悩む吉之助だった。この時代、無断で藩の外に出る行為は固く禁じられていたのだった。侍が逃げたら、二度と侍に戻れない、と半次郎に伝えると、半次郎は侍でいたい、と言う。吉之助は自分が何とかする、といい、具合の悪くなった中村家の妹を荷台に乗せて一緒に家まで送っていくことにする。
その頃、江戸の薩摩藩邸では、島津斉彬の息子寛之助が病に倒れて亡くなった。それまでに斉彬は立て続けに3人の息子を亡くしており、さらに寛之助までが命を落とすことになったのだった。薩摩藩邸の中で藁人形を見つける家臣は、寛之助が何者かに呪い殺されたと考えた。それは、斉興の側女である由羅(小柳ルミ子)の仕業と考えるものが多かった。
薩摩では、数日後、吉之助が脱藩の手伝いをしたとして上役に呼び出された。夜逃げを手伝ったとして吉之助を問い詰める井上。病気の娘を連れて、立ち往生をしていた親子を家まで荷車に乗せて連れて行ったと言い訳する吉之助に対し、薩摩藩家老調所広郷(竜雷太)にも歯向かったらしいとして、罰しようとする役人。
そこに赤山と大久保正助(瑛太)が現れて、吉之助の一件を自分に預からせてほしいと言う。赤山の屋敷に行った吉之助は、半次郎の家の田畑を赤山の力で安堵してほしいと頼む。
逃散や脱藩は大きな問題だが、武士が困窮して食うに困る状況はもっと大きな問題だ、と力説する吉之助に、赤山の家に手伝いとして仕える岩山糸(黒木華)は、半次郎の父が藩の金を使い込んだと説明する。
しかし、大久保も吉之助も薩摩の武士の誇りを奪うようなやり方は、薩摩の大損となる、と力説する。赤山は斉彬にこのような事はきっと伝わっており、薩摩が変わる日も遠くないだろうと二人に伝える。
それを聞いて希望に目を輝かせる吉之助だった。
阿部正弘は調所広郷を呼び出し藩の悪政を追求したが、一切の責めを負おうとする調所。
その頃、江戸城では阿部正弘が薩摩藩家老調所広郷を呼びつけていた。異国との密貿易のこと、琉球出兵での偽りについて問いただす阿部に対し、調所はすべて相違ない、と答えた。
主君島津斉興に追って沙汰があると伝える阿部に対し、調所はすべて自分が行ったことで、主とは関係ないと言明する。密貿易はともかく、琉球出兵まで調所一人でできるわけがない、と追求する阿部に対し、薩摩の全てを預かる自分にできないはずがないだろう、と言い張る調所。
一切の責めは自分が負うと調所は、阿部に誰が仕組んだ事かを教えてほしいと頼むと、斉彬が奥から出てくる。「やはり」という調所に対し、斉彬は言った。
「許せ。この薩摩は進まないといけないんだ」
斉彬は調所に今夜一献傾けないかと、酒の席に誘うが、野暮用があると断る調所。それが終わるまで待っているという斉彬に、斉彬が生まれた時の事を懐かしむように話す調所。
その夜、調所広郷の到着を待つ斉彬の元に調所は現れなかった。すべての責任は自分にあると遺書を残して、毒をのんで自害したのだった。
「死なせたくはなかった」と家老に酒を捧げる斉彬。
調所の死は波紋を呼び、斉彬に親しいものたちの粛清「お由羅騒動」が始まる。
調所広郷自害の知らせは斉彬に、そして薩摩へと駆け巡った。慌てて斉興と由羅の元に駆けつける斉彬の異母兄弟島津久光(青木崇高)に由羅は言った。
「死んだのではない、殺されたのですよ。貴方が名代に選ばれたのを根に持って」
「斉彬が幕府の力を借りて調所を追い詰めたのじゃ」と斉興。
斉彬を立てようとするものは目に余ると斉興は憤慨した。おまけに斉彬の子を呪い殺したのは由羅だという噂が立っていた。斉興は斉彬派と思われるものたちを次々に処罰し始めた。
切腹、島流しなどゆうに50名は超えていた。世にいう「お由羅騒動」と呼ばれる事件である。
その噂は薩摩中を駆け巡った。吉之助たちは集まってその話をした。お由羅の暗殺を企んだとして密告したものがおり、それに対して斉興が鉄槌を下した、そう仲間たちは噂した。お由羅を殺さなきゃいけないと戯言で言っていた自分たちも気をつけなければいけない、と大久保も言った。
その時、吉兵衛が帰宅した。様子がおかしいと皆が吉兵衛を見つめると、吉兵衛は言った。
「おはんら。よう聞け。赤山様に切腹のご沙汰が下った」
赤山靭負。薩摩の未来を担うべき尊い命が消えようとしていた。
(第3回終わり。つづく)
さるぼぼ母の感想。
さて、名代を弟に奪われ、一旦江戸に戻った斉彬の反撃が始まりました。江戸幕府の中心人物である阿部正弘は斉彬の才覚を認めた人物らしい、というのがわかりました。この後、藤木直人演じるこの人物が幕末にどういう影響を与えていくのかも見ものになりそうです。
それにしても、百姓の困窮ぶりを描いた前回に続き、薩摩の下級武士の困窮ぶりを描いた今回の中で、剣の腕の立つ少年半次郎もおそらく、吉之助と一緒になって幕末の日本を動かす中心人物となっていくのでしょう。
薩摩が日本一武士が多い藩だったというのも初めて知りましたが、そのせいもあって薩摩(鹿児島)は男尊女卑の著しい地域だったのでしょうか。
島津斉彬はまれにみる名将として後世に名を残していましたが、父である斉興はそれほど悪政を敷いたというのは意外といえば意外。さらに、側女の由羅を演じる小柳ルミ子の化物っぷりはすごくて毎回笑いました。
さて、切腹を命じられた赤山の命はどうなるのでしょうか。そして薩摩は斉興の悪政から逃れて斉彬に藩主が取って代わるのは次回の展開になるのでしょうか。
西郷どん、歴史の流れを説明する場面が多く、若干西郷隆盛の物語にはまだまだほど遠い感じですが、次回、おそらく新しい藩主の誕生となるだろうことを期待して、見守っていきたいと思います。
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